チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ19)

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渡辺side

仕事が定時で終わり、会社を出た直後

？｢あのー、すんません。ここの会社で働いている岩本さんって人、おりますか？｣

急に関西人に話しかけられ、少しビックリした

"岩本さん"って、あの岩本さん、だよな？

渡｢企画部の岩本照なら、まだ会社に居られますが｣

？｢ほんまですか！？照兄にメールしたんやけど、返ってこんくて...｣

"照兄"とは、岩本さんのことだろうか？

よく分からない呼び名はスルーして、とりあえず俺は岩本さんに電話をかけた

『もしもしー』

え、誰？

明らかに岩本さんじゃない声に、疑問を抱く

渡｢...えっと、岩本さんじゃないっすよね？誰すか？｣

？『深澤でーす』

電話の向こうの声の主に、思わず、あぁ、と声が漏れる

深『残念ながら照は今、ここにいませーん』

口調が若干イラッとするけど、岩本さんと仲良い深澤さんならこの関西人のこと知ってるんじゃないか、と思った

渡｢そうすか....。じゃあ、深澤さんでもいっか...｣

深『え、なに？』

すると、急に隣で会話を聞いていた関西人が、｢ふっかさーん！｣と声をかけた

知り合いかと思い、スマホを手渡すと、何やら親しげに話している様子だった

しばらく話した後、電話が切れると、

？｢ほんま、ありがとうございました！｣

そう言って、スマホを俺の手元に返した

？｢あの、もし良かったらこれから一緒にご飯行きません！？このお礼もしたいんで！｣

グイグイ来る関西のノリに押され、思わず、うん、と頷いてしまった

いや、君、誰？