チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ28)

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｢A、俺の黒いパーカーどこ？｣

リビングのソファでスマホをいじってると、後ろから蓮に話しかけられた

後ろを振り向くと、上裸の蓮がそこに立っていた

程よい筋肉のついた凛々しい上半身に、思わず目を逸らす

何度か見てきた光景だけど、あの日抱かれてから初めて見る身体に少し戸惑った

そんな戸惑いを悟られないよう、冷静を装う

｢あー、ベランダにかかってるから持ってくる｣

蓮を背にし、ソファから立ち上がり、ベランダの方に向かおうとすると、後ろから抱きしめららる感覚がした

すぐ下の視界に映る逞しい腕は、肩を覆うように首元で交差している

蓮｢ごめん。ちょっとだけ...｣

耳元で響く声が、やけにくすぐったい

背中から伝わってくる蓮の鼓動が、私の全身に響いている

｢風邪、引くよ。早く着ないと...｣

早く離れなければ、またあの日のような雰囲気に飲み込まれてしまう。

そっと首元で交差された腕を解こうとした途端、グッと力が入る

さっきよりも強い締めつけに、少し痛みを感じるくらい

蓮｢やだ...。離れたくない...。A....｣

熱の篭った声で囁かれる

耳にダイレクトにかかる吐息に、ビクッとなる

それに気づいた蓮は、｢A｣と再び呼ぶ

抱きしめる力が弱まり、露になった首筋に蓮の唇が吸い付く

｢んっ、、ちょっ...｣

蓮｢....もう、むり、｣

あの日みたいに、雰囲気に呑み込まれるように寝室へと導かれる

なだれ込んだベットの上で、私を見つめる蓮の目は、あの日と同じような目だった

与えられるものは、与えてあげたい

たとえ、それが自分だとしても