1番になりきれない女。3

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ゆっくりゆっくり、暗い夜道を歩く


私よりもコンパスが長いくせに、歩幅は同じ








「私今日は家帰るからね」


目「...そっか。じゃあ家まで送ってく」


「いや、いいよ」


目「いーじゃん。その方が長く一緒に居れるじゃん」


「あ、.....そ、」









甘い。


こんな甘ったるい言葉、疲れた心に悪いって。











目「照れてんの？」









顔を覗き込まれ、驚いて立ち止まる









「ち、ちかい」


目「あ、ごめん」










謝るくせに、ニヤッと笑ったら確信犯じゃん


完全に狙われた









そして、再び歩き出す









「なんか変な感じ」


目「なにが？」


「こうして普通に目黒と歩くの」


目「まぁね。大学だと、俺のこと避けるもんね」


「それはあんたの取り巻きが怖いから」


目「そんなの気にしなきゃいいじゃん」


「あんたは女の怖さを知らないのよ」


目「んー、そうかな。平気で我が子を捨てるような女の怖さなら知ってるよ」


「え？」










思わず、その言葉に足が止まる






1つになった足音を察したように、目黒も足を止める


ゆっくりと振り返って、口を開いた









目「俺、母親に捨てられた可哀想な子だから」











なんの光も持たない目


何かを諦めたようなその目に、何も返す言葉がなかった
















目「だからさ、もうひとりぼっちになりたくないんだよね」











どこか同意を求められているような言葉


いや、多分彼の精一杯の訴えだ。












きっとそれは私に向けられている



















その言葉を受け入れるか否か。


どうすればいいか、分からない

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