チグリジアⅡ ー愛して、助けてー (ページ48)

今日:2 hit、昨日:21 hit、合計:440,120 hit

96 深澤side ページ48

深澤side

渡「Aと目黒の両親は、東京に住んでるんですか」

渡辺の質問にも、一瞬ドキッとした

いつか聞かれるのではないか、とビクビクしていた質問が出る

Aの母親と目黒の父親のこと

真実を知ってるのは、俺と照しかいない

深「...いや、遠くに住んでるよ」

照が俺をちらっと見て、一瞬だけ目が合う

Aが隠したいことを、俺らが喋る訳にはいかない

照はきっとそれを分かってくれている

渡「だから、二人暮しなんですね」

香「けど、あんまり上手くいってないみたいで、親の話すると逸らされるんですよね」

上手くいっていない、設定なのか

わりと長く一緒にいる香織ちゃんや舘さんに、Aはどこまで話しているのか、俺は知らない

これ以上ボロが出てはいけない

深「俺らもAの親のことはあんまり知らないんだ」

だから、俺らも知らないふりをするしかないんだ

窓を覗くと、キラキラとした街の灯りが目に映る

ガラスに反射した俺の顔は、険しい様子だった

助手席で良かった。

こんな表情を見られたら、勘の鋭い舘さんは何かに気づくんじゃないか

渡「深澤さんと岩本さんでも、Aの知らないこと、あるんですね」

渡辺がどういう意図で、こんな発言をしたのかは分からない

けど、きっと君よりもAのことは知っているつもりだ

Aの苦労も知らない君に、彼女のことを分かっているかのような態度をとって欲しくない

こんなことを思う俺は、Aの彼氏でもないのに、心が狭すぎるんだろうか＿＿＿＿＿