チグリジアⅡ ー愛して、助けてー (ページ29)

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岩｢A！｣

キリキリと痛む胃を手で押えながら歩いていると、後ろからひかるくんの声がした

それを聞いて、とっさにお腹に置いていた手を引っ込める

｢どうしたの？食べるの早くない？｣

岩｢チョコプリン残ってたけど、ふっかにあげてきた｣

チョコ好きのひかるくんが、他人にそれを譲るなんて珍しい

急ぎの用事でもあったのだろうか

ひかるくんは周りを見回すと、私の腕を引き、誰もいない資料室へ私を連れて行った

普段はこんな強引なことをしないひかるくんに、戸惑った

資料室に入ると腕を離され、資料の積まれた棚に囲まれる。少し薄暗いせいか、やけに緊張感が走る

｢え、ねぇ、どうしたの！？｣

岩｢Aさ、山田となんかあった？｣

"山田"というワードに、思わずビクッとなる

なんて言おうか、なんて言えば誤魔化せるのか

｢なんで？なにもないよ｣

あくまでも平静を装う

いつも困っている時助けてくれるひかるくんだけど、さすがにあの話はできない

岩｢それは、ほんと？俺が見た感じ、山田が来たら、Aの顔が強ばっているように見えたけど｣

ひかるくんの真っ直ぐな目が、私に突き刺さる

どうして彼は、こうも鋭いんだろうか

｢....ひかるくんはさ、どんな私でも受け入れてくれる、、、？｣

ひかるくんの目が、少し驚いたように開かれる

けど、すぐに頷いて、いつまでも変わらない優しい笑顔で微笑んでくれる

｢ありがとう。ひかるくんは、変わらないね｣

岩｢なんだそれ笑俺はいつでも、お前の味方だから｣

そう言って、大きな手が頭の上で数回跳ねる

あぁ、私の味方はいるんだって実感できる感触

岩｢ただ、無理はするな。きつくなったら誰でもいいから、頼ること｣

もちろん俺も含めてな？と付け足すと、また優しい顔で微笑んだ

｢分かった。努力する笑｣

私の答えに少し不満な表情だけど、ふっと笑った後、｢戻るか｣と言って、部屋を出た