チグリジアⅡ ー愛して、助けてー (ページ3)

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渡辺side

俺の言葉に、はっとした後、またアイスを食べ始める

さすがに引いたよな、と思いながら俺もアイスを食べ始める

甘ったるいバニラとチョコの味が口いっぱいに広がる

今のこの気まずい雰囲気とは反対に、俺の口の中は甘さが充満している

｢ねぇ、バニラとチョコもたべたい｣

そう言って、ずいっと俺の方に自分の抹茶アイスを差し出してくる

なるほど、交換ってやつね

俺が望んでいた、分け合いっこじゃねぇか

俺も自分のアイスをAの方の口に持っていく

彼女は目の前に出されたアイスにガブッとかぶりつく

俺が口付けたやつに、Aも口つけたんだと思うと、ドキドキする

まるで中学男子みたいだ、、、

渡｢おまっ、一口がでかいんだよ｣

そういう俺も、抹茶アイスを持っていた彼女の手ごと自分の口に持っていき、一口かじった

さっきよりもダイレクトに抹茶の風味が伝わってくる

何の気なしにこういう事やってんだろうなーって思うと、ドキドキしてんのは俺だけかなんて悲しくなる

｢しょーたは、こういう分け合いっこ、したことあるの？｣

付き合っていた彼女とは、したような、してないような

基本、他人が口つけたもんには触れたくない主義だから、こういう回し食いとかはしない方だ

渡｢んー、あるけど、基本俺、他人が口つけたのNGだからあんまないかも｣

ふぅーん、と興味なさげに呟く彼女

もっと興味持てよ、と言いたくなる

｢ふっかともね、こういうのしょっちゅうだったの｣

突然出された深澤さんの名前に少しドキッとする

けど平常心を装って、うんと頷く

｢それに、わたしはいちいちドキドキしてさ。でもふっかはなんともない顔してるの｣

震える声に、彼女が今泣きそうなんだと察する

｢しょーたは、わたしでも、ドキドキしてくれる？｣