ペットにしてください。２

55 渡辺side ページ7

渡辺side

それから1年経った


なぜこの女にこれだけ肩入れするのかも、俺自身分かってない


いや、気付かないふりをしているだけかもしれない









Aの相談のことで、俺とAが共に過ごす時間が増えた


そこで、1つ気づいたことがある






Aが涼太の話をあまりしなくなったこと


ふっ切れたのか、諦めたのか、よく分からなかった









Aの家のソファの上で、そんなことを尋ねた







渡『なぁ、涼太のことは、もういいのか？』







俺がそう尋ねれば、Aは綺麗に整った眉を下げた









『涼太くんより、....す、好きな人ができたの....』







驚きと悲しみと、絶望と、それから...怒り。


それらの負の感情が同時に沸き上がってきた









こんなに相談に乗ってんのに、こんなに近くにいるのに、他に好きな人ができた？


なんで俺じゃない？なんで俺を見てくれない？









っざけんな








そんな思いを込めるように、荒々しくAにキスをした







ひでぇ男だと思う


けど、いい人のままで終わんのだけは絶対に嫌だった


彼女の中に、どうにかして"俺"を植え付けさせたかった









唇を離せば、目をまん丸く見開いている


その目は、しっかりと俺を捉えていて、やっとAの視界に入ることが出来たという喜びと、やってしまったという後悔の念が、自身を侵食した









渡『涼太の次は、どこの男だよ？...なんで、俺じゃねぇんだよ、』







情けない声の告白は、虚しくも静かな部屋に響いた







Aは、驚いた顔をした


そして、その後、あたふたし始めた









鈍感なこいつでも、









『翔太くんは、わ、私のこと....好き、とか？』









俺の想いは伝わったようで。

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