チグリジアー愛して、助けてー (ページ9)

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渡辺side

思いがけない工藤の発言に、不意をつかれドキッとする

『てゆか、それ渡辺に行った方よくない？絶対探してるでしょ』

『んー、まぁ、おいおい言う笑』

おいおいってなんだよ、なんて宮舘が言ってることと同じことを俺も心の中で思った

あの後はさすがに給湯室に入ることも出来ず、工藤が声かけるのをずっと待っていた

なのに、あっちから話しかけてくる様子が一向に見られない

え、ガチで、俺に黙っとくつもりなの？

みんながぞろぞろと帰り出した頃、お疲れ様でしたーと朝聞いた声が聞こえた

その声を聞いた途端、オフィスを急いで出る

長い髪を束ねてそれをゆらゆらと揺らしながら歩く後ろ姿

あ、いた

渡『工藤！！』

ビクッとした後、驚いた顔で後ろを振り返る

俺の顔を見ると、珍しいものを見るかのように、怪訝な顔をした

『渡辺じゃん、、、、どした？』

彼女の元へ軽い足取りで駆け寄る

やばい、俺ちょっと緊張してる？

渡『あ、あのさ、朝の資料ありがとう。マジで感謝した』

『あぁ～、あれね！全然！てゆか、よく気づいたね？笑』

渡『朝、給湯室で話してんの聞こえて、それで。てか、何で俺に言ってくれなかったの？』

俺の質問に対し、彼女は少し考えた素振りをする

そして、

『う～ん、なんか自分がやりましたー！ってのを本人に言うのってなんか恩着せてるみたいで、やだなーって思って。ごめん、私の勝手なプライド？』

私プライド高いの、とふわっと笑いかける彼女を見て、こんな優しい笑い方するんだなんて思った

『まぁ、同期なんだし助け合うのは当たり前じゃん？渡辺なんかあったら私の事助けてね』

じゃあね、と言って去る彼女

どうしても目が離せなくてずっと見ていると、急に振り返って、

『あ！ちゃんと睡眠とんなさいよー！』

それだけ言ってまた歩き出す

この日からは俺は、彼女のことが気になり始めた