チグリジアー愛して、助けてー (ページ38)

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すかさずスマホを耳元に持っていくと、落ち着いた声が聞こえてくる

渡『もしもし？』

｢あ、もしもし？｣

渡『よかった。出てくれて。既読なってんのに、来ないから俺からかけちゃった』

んはは、と機械越しに彼の笑い声が聞こえる

緊張してスマホを持つ手が少し震えてしまう

渡『、、、っあのさ、今日はごめん。いきなりあんなことして。けど、好きだってのはほんと』

信じて欲しい、と電話でも分かる真剣な声

その真剣さに、胸が掴まれるような感覚に陥る

なんて返したらいいかわからず、うん、とだけ返事をする

渡『だからさ、あんま深く考えずに、｢あ、私の事好きなんだなー｣くらいに思ってくれればいいから。俺の好きがお前を苦しめるのが、俺にとって一番きついことだから。』

渡『意識するだけでいい。Aが俺を好きになるかどうかは、俺の行動次第。』

いつになく真剣な声に、今日は感情が忙しく動き回る日だ

電話でよかった。直接会って言われたらどんな顔していいかわからない

こんなことに慣れてない私は、相変わらずうん、としか返せない

渡『お前、うん、ばっかじゃねぇか笑』

｢っだって！こんな真剣に気持ちぶつけられるのなんか、初めてで、、、どう反応したらいいか、、、｣

渡『ウブだな。かわいい』

"かわいい"なんて単語、今までわりかし言われてきた方なのに、いちいちドキッとしてしまう

｢っうっさ！し、しょうた、キャラ変しす｢Aー｣

急に呼ばれた声にビクッとする

振り返ると、お風呂上がりの蓮がタオルで髪の毛を拭きながら、こっちを見ていた

蓮｢、、、風呂、次いいよ｣

｢、っうん！おっけ！｣

下ろしていたスマホを再び耳元にかざす

｢ごめん、お風呂入るからもう切るね｣

渡『あぁ。じゃあ、また会社で。おやすみ』

｢うん、おやすみ｣

通話が終了した画面を見て、少しだけ寂しい気持ちになったのはなぜだろうか＿＿＿＿