チグリジアー愛して、助けてー (ページ32)

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32 深澤side ページ32

深澤side

え、なんでセットで来た？

しかもなんで、手握ってんの？

岩「あれ？翔太じゃん、どうした？」

渡「あ、岩本さんお疲れ様です。A、トイレの入口の前でうずくまってたんで、心配で送り届けに来ました」

深「A、大丈夫か！」

たしかに、顔色があんまり良くない

なんで気づかなかったんだ

「ちょっと、酔っちゃっただけ！大丈夫」

きついくせに、無理して笑おうとすんなよ

俺は、お前のそういう顔しか見れてない

ほんとうに辛い時の顔を見たことがない

岩「翔太、わざわざありがとうな。」

渡「いえ、どうせ"妹"と来てたんで。」

妹？

彼女じゃねーのかよ

深「彼女じゃなかったんだ、、、」

渡「はい。俺、好きな子いるんで」

そう言って、Aを見つめた後、今度は俺に視線を向けてきた

A、なんでお前そんな、女の顔してんだよ

深「へぇ。本気なんだね」

渡「はい。本気です」

その目が、俺を挑発する

自分の中で、何かが破れた衝撃が走る

深「まぁ、がんばって」

そんなこと微塵も思ってねぇけどな

失礼します、と律儀に挨拶して、Aにまたね、と優しい笑顔を向けると、渡辺くんは去っていった

無駄に礼儀正しいところも癪に障る

少し重苦しい雰囲気の中、俺の目の前に座ったAの口紅は、色が薄れていて、少し枠からはみ出している

なぁ、あいつとなにしてたんだよ＿＿＿＿