チグリジアー愛して、助けてー (ページ31)

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深澤side

Aが席を立って、照と二人になる

岩「なんか、翔太の話してから、あいつ変だな」

それは俺も気づいてた

岩「急にあいつら、名前で呼び合うようになってさ、距離近くなったんだよな」

深「ふーん。まぁ同期だし、それが普通なんじゃない？」

正直、少し焦っている

今まで男の影が見えなかったAに、急に"渡辺翔太"という存在が現れた

Aの俺への好意には、正直気づいてる

けど、俺はそれに応えられない

俺の母親みたいに、歪んだ愛が彼女へ向いたらと思うと、応えてはいけない

だから散々女遊びをして、本命を作らないようにしてるんだ

彼女に依存しないように、逃げてるだけ

岩「ふっか。早くしないと、Aとられるぞ」

深「俺はいいよ、べつに」

岩「ふっかは、きっとあいつを大事にできるよ。お前とお前の母さんはちがう」

人の心を見抜くね、ほんと

人の心を見抜くくせに、照は自分の心を見抜かせてくれない

深「けど、怖いんだ。どうしても踏み出せない」

岩「踏み出さなきゃ、このままだぞ。いい加減、自分の殻破れ」

いつになく、照の言葉が俺の心の中に響く

そろそろ、俺だってちゃんとしなきゃいけないことぐらいわかってる

心を落ち着かせようと、レモンサワーを飲み干す

ガラガラッ

襖を空けた先には、Aと、渡辺翔太