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杏寿郎side
任務を終え帰宅すると
千寿郎は泣きそうな顔で出迎えた
杏寿郎「どうした?何があった?」
いつもなら千寿郎と共に出迎えてくれるはずのAがいない
任務を終え帰ったと鎹鴉から聞いたが
杏寿郎「Aはまだ帰って来ていないのか?」
怪我をしたのか?
大きな怪我じゃなければいいのだが
だが、杞憂だった
千寿郎「姉上は怪我はされてません...」
杏寿郎「なら、なぜ泣きそうな顔をしてるのだ?話してみなさい」
千寿郎は言った
父上がAを殴ったと
そして、諦めさせるような、期待をさせないような言葉をかけた
千寿郎は、自室に手ぬぐいを取りに行ったところ、Aと父上の会話が耳に入った
心配になりこっそり後を追い部屋に行くと微かに泣いている声がしたそうだ
千寿郎は泣きながら俺に教えてくれた
...俺ならまだしも
入隊したてで、幼い
嫁入り前の俺の自慢の妹を殴り
そして
反対されてもめげず、ひたむきに努力するAを貶すようなことを言った父上に怒りが湧いた
杏寿郎「......父上と話してくる」
俺がこの子達を守らなければ
俺が父上と母上の代わりになれるようにならなければ
俺はズカズカと歩き父上の元へ
杏寿郎「─────父上、Aを殴ったようですが。なぜあんなことを」
愼寿郎「...」
相変わらず無視をする父上
杏寿郎「聞いておられるのか。Aに、いや俺の妹と弟に手を出すくらいなら俺を殴ればいい。貶せばいい。だが、あの2人にそのようなことをするのなら、尊敬する父上であっても許しません」
まだ、黙りこくっている父上に向け
杏寿郎「何とか言ってください父上!!!」
愼寿郎「......黙れ。うるさい」
静かに俺を睨みつけた
─────
───
──
父上の部屋から退出しAの所へ
左のこめかみが痛む
父上は「お前が尊敬する俺がこんなことをしているのだ。失望しただろ。もう尊敬などするな」
と、手に持っていた酒壺で殴り言った
少し切れてしまった
手ぬぐいで抑え止血した
杏寿郎「...A、すまない。入るぞ」
返信が全くなく心配になり襖を開けると
部屋の隅にある畳まれている布団の上に倒れていた
杏寿郎「A...?」
近寄ると少し小刻みに震えていた
駆け寄りAの体を起こした
額に手を添えると熱があった
顔色も悪い
何か違和感を感じた
よく見てみると左腕が折れてた
きっと千寿郎に隠していたに違いない
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美園(プロフ) - 面白かったです,心の中でこれからも楽しませてもらいます!素敵なお話ありがとうございました! (11月19日 22時) (レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠羅 | 作成日時:2021年10月20日 8時