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髪をグッと引っ張られ顔を持ち上げられる
「ヒーロー科が殴られてるってなんか変だねぇ、ダサいねぇ」
「でもヒーロー科だからやり返したらどうなるか分かるよね」
「ヒーローが弱い者いじめしてるって知られちゃぁねぇ...」
また、私は殴られ蹴られる
自分が情けなさすぎて嫌になる
あんたたちに言われなくても自分で分かってる
ヒーローに向いていないとか
この個性はいつか人や街を壊滅させてしまうんじゃないか
いつか暴走状態になってしまわないか
自分自身への嫌悪感や個性への不安や恐怖があるのに
何度も何度も...
神野の時みたいにもう心配されたくない
記憶を失くした時みたいに守られて心配されたくない
私は強いヒーローにならないといけないのに...
『もう...嫌だ...』
もう、何が何だか分からない
これからどうすればいいのか分からない
もう楽になりたい
死んでしまいたい
消えてしまいたい
惨めに溢れかえる涙と嗚咽を耐えその場に伏せる
切島「...あっ！いた！！...良かった...帰ってこねぇから皆して探し......光神？」
『もう、やめて...心配しないでよ。私なんかに気を遣わないでよ...』
ボロボロでズタズタになった心で
"いつもの私"を演じれるわけなくて
『守られたくない...心配されたくないのに...もう嫌だ...楽になりたいよ...死んでしまいたいよ...』
切島「...ようやく弱音を吐けたな」
『.....え』
顔を上げると
困ったように、何故かホッとした顔で笑う
切島「今のお前を見てたら楽になって欲しいよ。けど、死んで欲しくねぇ。俺も皆も思ってる。今まで俺がなにかしてやれたかって思ったら0に近ぇ...
すぐ近くにいるやつが困ってこんなに思い詰めるまでなってんのに気づけず、助けられなかった。本当にごめん...ヒーローでも男でもねぇし、友達として悔しい。
苦しいはずなのに誰にも弱音を吐かずに笑って、正直強え奴だなって少し思った。でもよ、ようやく弱音を聞けたからさ少し安心した。もう全部吐いちまえよ。今は俺しかいねぇし、お前の兄貴にも八百万にも皆にも黙っててやるから」
切島くんはいつものように笑った
あの時のような太陽みたいな笑顔を沈み掛けの夕焼けが照らした
暖かい日差しのような優しい君を見たら
泣けてきた
酷く醜くわんわんと泣く私を何も言わずにただそばにいてくれた
こんな醜態誰かに見せるなんて恥ずかしいって思うけれど
今はそんなのどうだっていいや
涙、止まる気しないから
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作者名：珠羅 | 作成日時：2020年7月20日 19時
