【銀魂】ヒロインが可愛すぎる ６

二百五十六話 ページ30

有無を言わさない雰囲気で近藤さんの手首を掴み引っ張る。
すると動揺した声で近藤さんが話しかけてきた。



近藤「ちょっ、Aちゃん⁉一体何して…Aちゃんは早く逃げて…」



困惑しているのもお構いなしに引っ張る力を緩めるどころかより強くする。
それでも一歩も動こうとしない近藤さんに向かっていった。



『私は逃げろなんて言われてない。
ならさ、私が近藤さんをこの場から連れ去るってのは有りってことだよね』



理論もなにもかも破綻した私のただの思いつき。だけどこれでいいんだ。
遺言だなんだとぐちゃぐちゃと考えて本当に大切なものを見失いたくない。

だから私は誰からなんと頼まれようと、自分のやりたいようにやらせてもらう。


ふいに背後から機械音が聞こえた。
不思議に思い振り替えるとトッシーが車内の通信機を手に取っている。

そうして、口を開いた。



土方「あーあー、ヤマトの諸君。
我等が局長近藤勲は無事救出した。勝機は我等の手にあり」


トッシーの気の抜けた声だが、内容は近藤さんの言葉を完全に無視するようなもの。
へたれたオタクとまで言われているようなトッシーができるとは到底考えられない。



土方「局長の顔に泥を塗り、受けた恩を仇で返す不定の輩。
あえて言おうカスであると！今こそ奴らを月に代わってお仕置きするのだ」


《オイ、誰だ？気のぬけた演説してる奴は》



時々アニメネタに走りつつも言っていることは真選組の副長と重なるところがある。
隊士の問いに対して、ヘタレなんて言葉が出てこないような迫力でこう言った。



土方「誰だと？



真選組副長土方十四郎ナリ‼」



言い終わり乱雑に通信を切る。ナリってなんだナリって。
そう思いつつも心のどこかで副長の帰還を期待している自分がいる。

呆然としている私達に構わず、近藤さんを見据えてこう続けた。




土方「近藤氏、僕らは君に命を預けるその代わりに君に課せられた義務がある。
それは死なねー事だ。何が何でも生き残る。

どんなに恥辱にまみれようが、目の前でどれだけの隊士が死んでいこうが君は生きにゃならねェ」



二つの人格がまざったような奇妙な口調。
少しの違和感と少しの希望を持ちながら聞いていく。



土方「君がいる限り真選組は終わらないからだ、僕達はアンタにほれて真選組に入ったからだ。
バカのくせに難しい事考えてんじゃねェ、てめーはてめーらしく生きてりゃいいんだ」



そうして、トッシーはタバコをくわえた。

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