12月の花束＜ybhk＞

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ybside

本当に訳がわからない。光が俺と別れようと言ってきた。

そりゃ置かれた立場上、付き合ってることは誰にも言わなかったし、それでも2人きりでいる時は幸せを満喫していたはずだ。いや、絶対そうだった。

あんまりしつこいから「いいよ、わかった」って勢いで言ったけど、本当は全然わからん。やっぱりもう一度話さなきゃ納得できない。



******

光の家を訪ねると、光が息をのむ様子がインターホン越しに伝わってきた。

「薮…帰って…」
弱々しい声が聞こえる。

「やだ！開けてくれなかったら大声で叫んで人が集まってきて動画とられてSNSで拡散されてやるから！」

たぶん俺の言ったことをよくわからなかったとは思うが、光がドアをあけてくれたのでずかずかと上がっていった。そのまま奥のリビングまでいくと少しばかりの笹の葉が飾られていて、短冊がぶらさがっている。

毎年光は律儀に願い事を書いていた。それは俺と付き合ってからは毎年同じで、グループの成長と2人の幸せだった。

光の願い事が知りたい。
俺と別れて今、何を願ってるのか。

「…なんかのむ？」
俺の突然の訪問にとまどってる光が、それでも飲み物の用意をしてくれている間に短冊にかかれた願い事を盗み見た。


…そこに書いてあったのは間違いなく俺への気持ち。




本当に何やってんだ俺達。好きなら好きでいていいはずだ。今までだっていろいろあったけど、俺と光、2人で一つ一つクリアしてきた。俺達が選ぶのは2人一緒に進む道だけだろ。


飲み物を持ってきた光の腕をとり、抱き寄せる。驚いた光が離れようとするのを力強く抱きしめ、何か言おうとする光の口をふさぎながらささやいた。

「光の願い事、かなったよ」

もう絶対離さないから覚悟しとけ。

fin

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