12月の花束＜ybhk＞

3月・掲示板 ※大学生ybhk ページ15

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少しせっかちな桜が咲き始めたころ、入学が決まった大学に手続きに来た。

高校とは違う広い構内。少し迷ってたどりついた掲示板の前で、待ち合わせなのか一人立っていた人に惹かれたのは本当に偶然で。



その人…薮宏太って名前は入学してすぐにわかった。たまたま友達が同じサークルで、これもたまたま同じ授業があって…時々話す関係までこぎつけられたのはすっかり夏も終わるころ。

少しずつ情報を集めたら付き合ってる人はいないようだったけど、でも確実に恋愛対象は女性らしい…

元々そんな恋ばかりしてきたから覚悟もしてたし、ダメなのは最初からわかってた。



そんな関係が少し変わったのは秋の学園祭だった。
共通の友達に頼まれて一緒に屋台を手伝ったのがきっかけで、2人で一緒に帰ったりするようになって。
「光」と下の名前で呼ばれるようになったのもこの頃で、俺もちょっと勇気を出して「薮」って呼ぶようになった。



俺より少し背の高い薮は、時々肩をくんでくる。
薮は気軽に誰にでもやるみたいだけど、そう思っても回った腕が見た目よりずっと逞しくて、近くでみる横顔は男らしくて、泣きそうになるくらい素敵で。
心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかってくらい毎回ドキドキしていた。




仲良くなるにつれ、薮は恋愛対象は女性だけど、俺のようなのにも偏見はない人だって知って思いきって告白しようと決めた。何もいわないで隣にいることもできたけど、もうそんな自分を止めようと思ったんだ。


そして…思いきって告白した。







*****


付き合って3ヶ月めのこと。

「友達にもどろう」

そう言われたとき、息がとまりそうになって。
やだって言いたかったけど、言えるはずもないことはわかってた。

「わかった。ありがとね、今まで。」

ちゃんとお礼を言いたかったから、涙が溢れそうだったけど、頑張った。



薮…、俺、薮のことがずっと本当に好きだった。
時々思い出すくらいは、いいよね。


following the April story……

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