【HxH】ヤクザの娘の私がハンターになるまで。 (ページ33)

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参拾壱ページ33

飛行船に乗って移動すること十数分、

私達を乗せた飛行船はマフタツ山、という所へ向かっていた。

｢あ、見えてきたよ！あれじゃない？｣
私は一緒に窓の外を見てたゴン達に、見えてきた岩山を指し示す

見えてきたそれは、岩山の真ん中に割れ目が入っていて、名前通り真二つになっている山だった

やがて飛行船が着陸し、私たちは岩山に降り立つ

｢さあ皆、崖下を覗いてみて｣

メンチさんにそう言われ崖下を覗くと
そこには、岩から岩へ糸が繋がっていて、
それが下へ下へと続いているのが見えた

小学校の席替えのあみだくじを彷彿とさせるその糸の正体を、ずっと前に組員さんに教養として教えて貰ったことがある

が、肝心なその正体を忘れてしまった

｢うーん、なんだったかなあ｣

と唸っていると

｢クモワシの巣よ｣

そう示教するメンチさん。それに続いてゴンも

｢あんな所に巣を作るんだ……｣

と関心していた

びゅう、と強い風が吹く

巣の下の方をよく見て、とメンチさんに促され崖下に目を懲らすと
白い卵がまとまって吊るされているのが見えた

ネテロさんが言うには、
クモワシは天敵から身を守るため、深い谷間に巣を作り卵を産むんだそうだ。
そのため最も入手困難な食材の1つとも言われてるらしい

｢ちょっと待て！ま、まさか……｣

1部の受験者達は腰を抜かしてしまったようだ

しかし、そんな彼らを
メンチさんは、そのまさかよ。と一蹴し崖の縁まで歩み寄り、

｢はっ！｣

崖へ飛び降りる。
そのまま流れるように崖下の糸に捕まりぶら下がるメンチさん

そう、彼女はまさに今、あの卵を狩ろうと(ハント)しているのだ

｢たとえ卵が捕れたとしても、どうやって上がってくる気だ？｣

緊迫した空気の中、レオリオが疑問を口にする

その時、メンチさんは掴んでいた糸を離した。
そして吊るされていた卵を1つ取り、そのまま谷底へ降下していく

それを見て数人の受験者達が目を覆った

｢単なる自滅行為じゃねぇかよ！｣

レオリオが言ってるけど、

私は知っている。昔にうちの組の組員さんから教わったんだ

｢思い出した。確か、卵からかえったクモワシの雛は……｣

私がそう言いかけたその時だった

ブワァアア！！！強い風が下から吹き上げてきた

｢上昇気流で上へ昇ってくる！！！！｣

私がそう言った刹那、卵を持ったメンチさんが上昇気流で昇って、着地した

美食ハンターの名に恥じない、しなやかで美しい狩り(ハント)だった