続き ページ36
最近、温かいコメントがいっぱいで嬉しい作者です。
ニヤニヤしながら見てたら、弟に引かれました。
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光一side
「あ…あ…?」
目の前の状況に理解が追いつかず、指すら動かすことができない。
和馬から血は出ていない。だけれど、「あの時」の風景が思い出された。
和馬が1度目の生を失ったのは、おれを車から庇ったせいだ。
その時に見た黒いアスファルトに映える赤が、生々しく記憶にこびりついている。
当時はぐったりと動かなかったが、今の和馬はロボットだから。
ボロボロになった体で立ち上がると、おれに駆け寄ってくる。
「光一、怪我はないか」
パチパチと火花が舞って、とても痛々しい。
なんで毎回、和馬が。
おれが…
「…んで…」
「光一?」
もう、体を繕うことはできない。それはすなわち___。
尚も真っ直ぐに見つめてくる和馬の結末を知っていたから、耐えれなかった。
「なんで庇ったんだよっ!おれが逃げ遅れたんだ、おれが死ねばよかったのにっ!」
和馬が目を見開く。
おれも混乱していて、自分が何を言っているのか分からなかった。
もう和馬が隣にいることはない。
その事実がおれの胸に突き刺さる。
「光___」
和馬が口を開く。
だけど、それを言い終える前に。
無情にも、システムの稼働が停止した。
おれにできることはなくて、目の前のことが信じられなくて。
もう永遠に動くことのない和馬を見つめていれば。
「和…馬?」
か細い、しかしおれの一番聞きたくない声が耳に入った。
和馬の姉、クリスさんだ。
大きな瞳をさらに見開いて、おれたちを凝視している。
彼女は倒れ伏す和馬を見て、怒りと悲しみが入り混じったような表情を見せた。
おれに向かって一直線に歩み寄ると、激情を吐き出すように話しかけた。
「な、なんで…なんでよっ!和馬は、逃げ遅れたりなんかしないわ。こんなことは言いたくないけれど、和馬は機械だから…パニックになるなんてあり得ないから。建物にだってすぐに逃げ込める」
全くその通りだ。
言い返せず、言い返す気もなく、ただただ言葉を聞く。
「あなたのせいよっ!和馬は、きっとあなたを庇った…そんなのっ…ふざけないで!」
彼女はぽろぽろと涙をこぼしながら、おれの首に手をかけた。
力は強くて、だんだんと意識が薄れていく。
でも、これで和馬と会えるなら。償いができるなら。
「ずみまぜ…ありがど…ぅ」
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たまご(プロフ) - さゆさん» こんにちはー!コメント返信遅くなってすみませんー!合唱部、お揃いですね。ようやく重い腰を上げて書き始めたので、よろしくお願いします。 (10月22日 16時) (レス) id: 6747865d62 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ - 私も合唱部でした… (8月15日 13時) (レス) @page49 id: f83e442703 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ - 叫びましたよ〜!!笑 「光和最高っ!!」 (8月15日 12時) (レス) @page1 id: f83e442703 (このIDを非表示/違反報告)
アイスマン(プロフ) - おい、おい48ページの和馬くんをお姫様抱っこしたい貴様。 同感だ (2022年4月18日 21時) (レス) @page48 id: a725f7a9a5 (このIDを非表示/違反報告)
ペン太 - お返事書こうとしたらまた久しぶりになっちゃった……ぽのさん、たまごさん、お久しぶりです! (2022年3月26日 16時) (レス) id: 1f3dfec746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たまご | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/suikahqd/
作成日時:2022年1月3日 16時