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第6話 ページ7

私が睡魔と闘っていると、スマホの着信音が鳴った。


その音が、目覚まし代わりになってくれた。


『はい、佐倉です。……あぁ、はい』


私が通話を始めるのとほぼ同時に、零がギアに左手、ハンドルに右手を添える。


チラリと視線を交わらせて私が小さく頷くと、零はアクセルを踏んだ。



「どこに行った」


電話を切った瞬間にそう話しかけられ、私はスマホを操作しながら答える。


『反対側の国道』


「どこに向かってる」


『交番が近くにあるから、反対側』


「反対側を反対向きって…」


急にグンとスピードが上がった。


運転席前のメモリを盗み見ると、100kmは余裕でオーバーしている。


『高速違反なんですけど』


「うるさいな、逮捕が優先だ」



“カーナビ”と言われたときから、こうなることは予想していた。



『逮捕するなら最初から捕まえにいけばいいじゃん。
わざわざ車で待ち伏せしなくてもいいでしょ』


「俺が最初から捕まえにいったら、逃げられた時の手段がないだろ」


少し道が開けたところで摩擦音が鳴り響く。
車はドリフトで方向転換。

この車はスポーツカータイプだ。


「追いつくまでの時間は何秒だ」


『知るわけないでしょ!?』


「計算しろ電卓!!」


『今してる!!』


犯人の時速と、この車の時速と…
距離と間隔から…。


『あと20秒くらいで並ぶ』


零は静かに頷くと、
私のシートベルトを外した。


『は!?この高速で外すのはヤバいって…ぅわあ!?』


そのまま零が私を引っぱり、
私は必然的に零の座席へ引き寄せられる形となった。


『え、ちょっと何してんの!?』


「黙ってろ。離れたら死ぬぞ」


“死ぬ”と言う言葉に何も言い返すことができず、
私は黙って零の様子を窺った。


すると零はニヤリと口角を上げた。



十字路で勢いよく左折し、

反対側の国道へ、車体の向きは変えないまま突っ込んだ。



それとほぼ同時に、高速の車が助手席側のドアに突っ込んできた。

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卵符鈴 - ルウさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2018年7月9日 18時) (レス) id: 15e26a11d7 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ - コメント失礼します!続きがすっっごい気になります!更新頑張ってください! (2018年7月8日 14時) (レス) id: ae4050be10 (このIDを非表示/違反報告)
卵符鈴 - red cherryさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです^^頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 15e26a11d7 (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - 初めまして!面白くて続きが気になります♪応援してます^ ^ (2018年6月30日 21時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:嵐符 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年6月23日 17時

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