幼馴染は素直じゃない【降谷零/安室透】

第10話 ページ11

「あ。Aお姉さん」



遅めの通勤途中、メガネ少年ことコナン君に声をかけられた。


『偶然だね。今日月曜日でしょ、学校は？』


「授業参観の振り替えで休みだよ」


なるほど。通りでランドセルを背負っていないのか。



「Aお姉さんは何してるの？」


『今から仕事。午前中は休みだったの』


「Aお姉さんは、何の仕事してるの？」


『うーん…。公務員、かな』


「そうなんだー」


“公務員”って言えばだいたい通じたらしい。


小学一年生ながら流石の知識力に感心する。



「ねぇ、Aお姉さん。仕事までまだ時間ある？」


『え？…まぁ、無いわけではないけど…』


「ちょっと訊きたいことがあるんだけど、いい？」


コナン君はおねだりするように可愛らしく私を見上げた。


『私に答えられることなら、いいよ』


私の返答に、コナン君は表情をパッと明るくした。


子供は嫌いじゃない。




けど、次の言葉を聞いた瞬間、少し嫌いになりかけた。



「Aお姉さんと安室さんって、幼馴染なんだよね」


『……ん？それは誰情報かな？』


「安室さんから聞いたよ？」


なるほど。通りで語尾に疑問符が無かったわけだ。



………いやいやいや、ちょっと待て。



私と零が幼馴染って言った？


安室さんから聞いたって？


『…何かの間違いじゃないの？』


「間違えてないよ。ちゃんと訊き返して確かめたもん」



嘘でしょ安室さん。というか降谷零。


何考えてんの。

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