story53__傘 ページ8
「あーららら…」
偶然、私もカルマ君も家の最寄り駅が同じだった。
駅から出てみると、電車に乗る前と変わらない大雨。
こんな小さな駅じゃ売店も無いし、近くにコンビニも無い。
「……カルマ君、ごめん」
「いや、広瀬さんが謝ることないでs」
「嫌かもしれないけど、私と相合い傘しよう」
カルマ君の言葉を遮って言った私の言葉に、カルマ君は目を見開いた。
「……え?」
「傘も持たずに雨に打たれて帰ってく友達を見送るなんて、後で風邪でもひかれたら私の気分が悪くなるから…!」
お願い!
って、私は頼み込むように頭を下げた。
「…はは。そんなことで頭下げる人、初めて見た」
カルマ君はそう言うと、私が持っていた傘を取り、開いた。
「い…嫌じゃないの?」
「相合い傘くらい、嫌なわけないでしょ。ほら、行こ」
カルマ君は傘の中に入り、私の腕を引っ張った。
思わず顔を上げると、意外と距離が近くて思わず後退ってしまう。
するとカルマ君は私の腰に手を回してそれを阻止した。
「離れたら濡れるでしょ」
「…思ったより距離が近くてビックリしただけ」
っていうか、既に全身濡れてる人に言われたくない。
「あー、だって広瀬さんの傘そんなに大きいわけじゃないから」
「…折り畳みじゃないだけ我慢してよ」
「だーから、誰も嫌なんて言ってないでしょ」
カルマ君はケラケラと笑った。
…この人、なんでここまで自然体でいられるんだ。
少なくとも緊張してしまう自分が悔しくて、私は顔を背けた。
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卵符鈴 - 絵奈(元Kanataさん» ………真面目ではない。断じて。 (2019年1月27日 0時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
絵奈(元Kanata(プロフ) - 卵符鈴さん» やっぱり真面目なんでしょうねぇー (2019年1月26日 0時) (レス) id: 2d41293e25 (このIDを非表示/違反報告)
卵符鈴 - 絵奈(元Kanataさん» 何なんでしょうねー(笑) (2019年1月25日 23時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
絵奈(元Kanata(プロフ) - 卵符鈴さん» じゃ、なんなんでしょう??(( (2019年1月15日 6時) (レス) id: 2d41293e25 (このIDを非表示/違反報告)
卵符鈴 - 絵奈(元Kanataさん» それは“真面目”とは少し違うと思うんですけどねぇ…。 (2019年1月15日 0時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
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