story76＿＿羨み ページ31
業side
店を出て、少し暗い日陰に入ると、俺の前を歩いていた安室さんがクルリと振り返った。
「それで、何の用事かな？」
「…なんで俺の名前知ってんの」
さっき、“赤羽君”と呼ばれたときに違和感を覚えた。
俺はこの人に名前を教えたことはないし、仮に誰かが俺を呼んでいるのを聞かれていたとしても、名字ではないはずだ。
「藍李から聞いたんだよ。君たち、付き合ってるんだろ？」
「…まぁ」
安室さんは、それが？とでも言いたげな様子で俺を見つめる。
「…安室さんって、藍李のこといろいろ知ってるよね」
「まぁ、幼馴染みだからね」
「でも俺は、藍李に隠し事されてばっかりで。安室さんが羨ましい」
「へぇ。僕が？」
安室さんは困ったように笑って続けた。
「僕は、君が羨ましいけどね」
「え…？」
俺が…羨ましい？
「なんでもないよ、気にしないで。
君の用事は、僕から藍李のことを聞き出すことかな？」
……なんだか語弊がある言い回しだ。
「悪いけど、そういうことは本人から聞くべきだよ」
…別に、安室さんから聞き出そうとしてた訳じゃないんだけど…。
「それくらい分かってるよ。藍李が答えてくれないから困ってんの」
「気長に待つのが一番かな」
安室さんはニコリと微笑んだ。
「残念だけど、藍李は物に吊られるタイプじゃないんだよ。強いて言えば僕が作った料理には弱いみたいだけどね」
「はぁ……」
確かに、さっきも安室さんが作ったハムサンドを美味しそうに食べていた。
「君と藍李の問題だから、君のしたいようにしたらいいよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 584人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卵符鈴 - 絵奈（元Kanataさん» ………真面目ではない。断じて。 (2019年1月27日 0時) (
レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
絵奈（元Kanata(プロフ) - 卵符鈴さん» やっぱり真面目なんでしょうねぇー (2019年1月26日 0時) (レス) id: 2d41293e25 (このIDを非表示/違反報告)
卵符鈴 - 絵奈（元Kanataさん» 何なんでしょうねー(笑) (2019年1月25日 23時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
絵奈（元Kanata(プロフ) - 卵符鈴さん» じゃ、なんなんでしょう？？(( (2019年1月15日 6時) (レス) id: 2d41293e25 (このIDを非表示/違反報告)
卵符鈴 - 絵奈（元Kanataさん» それは“真面目”とは少し違うと思うんですけどねぇ…。 (2019年1月15日 0時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
