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story71__嫌なこと ページ26

私の唇を塞ぐ正体がカルマ君の唇だと理解した瞬間、全身の肌に熱が走った。



壁に押しつけられている手の、指が絡められる。


……あっさりと恋人繋ぎをされてしまった。



でも、今はそんなことより。


上手く呼吸ができない。


ときどき離れる唇は、酸素を取り込む暇もなく再び塞がれてしまう。



角度を変えながら何度も塞がれる唇は、

次第にその感覚を失って。




「……藍李」


やっと拘束が解かれても、
私には自力で立つ気力さえ残っていなかった。



ヘナヘナと地面に座りこむ私に目線を合わせるように
カルマ君はしゃがんだ。



「キスは、俺が初めて?」


……その通りだ。


頷くのが恥ずかしくて、私は顔を背けた。



「生憎、俺はビッチ先生のディープキス喰らったことあるんだけど。
藍李はまだ被害に遭ってないよね」


……そういえばそうだった。


ウチの外国語の授業の異様さを思い出す。


誰にキスしても大概“まだまだね”と言うビッチ先生が、
カルマ君にキスした後は“悪くはないわ”と言ってた気がする。


ビッチ先生のその言葉は誉め言葉に近かっただろう。



つまり、カルマ君はキスが上手い



…らしい。



「藍李は、何が嫌なの?

恋人繋ぎもキスも恥ずかしいかもしれないけど、
藍李はただ恥ずかしいだけで嫌がってるわけじゃないよね」


「……………」



どうやら、カルマ君には見透かされていたようだ。



でも、やっぱり正直に答えるわけにはいかない。


カルマ君が何かを疑ったとしても、言葉にしてしまえば取り消しは不可能。



「誰もいないところでなら…我慢する」


私が背ける視線に割って入るように、カルマ君は顔を覗かせた。


「“我慢”って……。嫌じゃなかったくせに」



私は更に顔を背けて視線を逸らした。

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設定タグ:暗殺教室 , 名探偵コナン   
作品ジャンル:その他
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卵符鈴 - 絵奈(元Kanataさん» ………真面目ではない。断じて。 (2019年1月27日 0時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
絵奈(元Kanata(プロフ) - 卵符鈴さん» やっぱり真面目なんでしょうねぇー (2019年1月26日 0時) (レス) id: 2d41293e25 (このIDを非表示/違反報告)
卵符鈴 - 絵奈(元Kanataさん» 何なんでしょうねー(笑) (2019年1月25日 23時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
絵奈(元Kanata(プロフ) - 卵符鈴さん» じゃ、なんなんでしょう??(( (2019年1月15日 6時) (レス) id: 2d41293e25 (このIDを非表示/違反報告)
卵符鈴 - 絵奈(元Kanataさん» それは“真面目”とは少し違うと思うんですけどねぇ…。 (2019年1月15日 0時) (レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:嵐符 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月3日 23時

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