吹雪のように ページ37
信号がかわって
再び動き出す車
窓の外では雨が雪に変わり
強い風も吹いてきて…
白く霞みはじめる街…
私はヘギョンさんの隣で
何も言えずにいた
彼と私は
韓国と日本
それぞれ離れた場所に住んでいて
多忙な彼の
仕事の都合に合わせると
思うように会えなくて
クリスマスすら
会えなくて
さみしい
そうこぼした私に
「会いたいなら会えばいいじゃない
Aが会いにいけばいいじゃない」
あっけらかんと言ったのはお母さんだった
あれは蒼梧のお父さんのお葬式の帰り道
蒼梧と別れて 別のひとと付き合っていると
打ち明けた流れで
そういう話になったんだけど
昔から思いついたら即行動がモットーで
「後悔しないように生きる！」が口癖のお母さん
特にその日は 若い頃から親しくしていた
蒼梧のお父さんを見送ったせいか
お母さんは、何度も
「人間なんていつかは死んじゃうんだから」と
「Aも後悔しないように生きなさいよ〜！」を
繰り返して
「もう今すぐエアとホテル予約しちゃいなさいよ」
って言いだしたお母さん
さすがにそれは…って
その時はいったん思いとどまったけど
その日から韓国に行きたい、
チャンソンに会いに行きたいって気持ちが
頭を離れなくなって
年末年始の休暇を利用して韓国に行きたいけど
「どうかな…」って聞いたら
「仕事は休みじゃないけど
ずっと韓国にいるから」って
「来てよ！！！ 大歓迎だよ！！！」って
チャンソン言がってくれたから
来てしまった…
チャンソンの都合を
考えなかったわけじゃないけど
窓の外で激しさを増しながら
街を白く染めていくこの激しい吹雪みたいに
会いたくてたまらない気持ちを
抑えられなくて…
でも本当にチャンソンを思うなら
やっぱり遠慮すべきだった？
迷惑だった？
その答えがどこにあるのか
この時はまだ分からなかった
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作者名：yukichansung | 作成日時：2015年9月7日 1時
