スイッチ チャンソン ページ1
今までは
韓国と日本は時差もないし、近いもんだと思ってた
実際そう遠くないはないしね
でも、近いようで、遠い
そう思うようになったのは
Aを好きになってから
昨日みたいなことがあると、特にね
結局あの後もAは
「本当にチャンソンの声が聞きたかっただけだってば…」
って
そう言い張った
だけどほんとに「それだけ」とは思えなくて
もっとなにか、言いたいことがあったんじゃないかって
気がして
すぐに会いにいけない距離がもどかしくて
すっきりしない気分で朝を迎えることになった
だから
Aに会ったら、昨日なにがあったのか、
今度こそちゃんと聞こうと思ってたのに……
「チャンソ〜ン！ 寒い寒い寒いっ！ 」
「 外はめっちゃ寒いよ〜〜〜」って
ホテルの部屋に入ってくるなり
Aがいきなり抱きついてきたもんだから…
僕はその冷え切った体に驚いて
「わわっ。ほんとだ！
A、ほっぺたも髪も、こんなに冷たくなって…」
慌ててAの顔を両手で包み込んで、温めた
「ごめん。こんな寒い夜に呼びつけて」
いつもこっち都合に合わせてもらうばかりで
申し訳なくなるけど
「全然。冬の夜の散歩も楽しいよ。
空気が澄んでて、ツリーとか超キレイだし」
鼻の頭が赤くなってるくせに笑顔で首を横に振り
そんなことを言うAが可愛くて、愛しくて
こつんとおでこをくっつけると
「ふふ。チャンソンの手、おっきくて、あったかい…」
Aは嬉しそうに笑って
僕の手にそっと自分の手を重ねる
その感触に
僕を見上げる黒目勝ちの瞳に
柔らかそうな唇に
ざわっと血が騒いで
たまらない気分になる
Aはまだそんな僕の下心に気づかず
優しく気遣うような目をしてるってのにさ……
「タッチ会お疲れ様。疲れてない？ ちょっと目が充血してる…」
「大丈夫。Aの顔みたら、元気出た…」
Aを見てると、いつもこうなんだ
先に話すこと、あるのに
我慢ができなくなってしまう……
吸い寄せられるように唇を重ねると
「チャンソ…、ん…っ」
僕を呼ぶ声が甘くとろけて
小さくて柔らかい体が腕のなかでぴくんと震えて
僕は、 完全にスイッチが入ってしまった
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作者名：yukichansung | 作成日時：2015年9月7日 1時
