7話 息をする者 ページ8
お昼を食べ終え午後の授業。せんせーに聞いてた通りオールマイトの戦闘訓練が始まった。
2人組でボクだけ余るから、1対2の試合になる。そのかわりに好きに選んでいいって言われたから面白い試合のところにしようと思ったけど……
「うーん……」
どのペアもパッとしないなぁ。ずっくーは医務室行きだし適当に選ぶかな……そうだ、瞬殺してた紅白くんとかっくんにしよう。強そうだし。
「オールマイトー、かっくんと紅白くん……爆豪くんと、えーと轟くん？ でお願いするのだ」
「クラスのトップ2じゃん、大丈夫かよ？」
「大丈夫なのだ。心配ありがとなのだ」
一応特待生だしそう簡単に負けるつもりはない。屈伸運動いっちにーさんし。コスチュームは動きやすさ重視のパーカーとジーンズ。一見普通の服だけど、耐火耐水絶縁通気性抜群の優れもの。最近のコス会社は優秀だ。
「スタート！」
合図と一緒にパキパキとビルが凍りだす。足元を中心にワールドを展開。炎を作ってもいいけれど靴焦げるかな。温度を足しておけば凍るまい。
「
……ワールドもう少し広くしておけばよかったかな。すべらないといいけど。靴の裏をなぞるとザラザラしてた。うおおおお滑り止めついてる！ ちょっと感動。
ヘッドホンを首までずらす。世界はうるさくなる。
心音。呼吸音。衣擦れ。足音。そしてそれらの反響音。
ヘッドホンを外すだけ。目をつむるだけ。たったそれだけでボクは、世界を耳で見ることができる。
2人分の足音が聞こえる。1フロアずつ見て回ってるのが手に取るようにわかる。ボクがいるのは3階、核があるのは5階。
3階の扉の側まで2人が歩いてくる。かっくんが右腕を扉に向けて構えて、紅白くんは死角に待機。お手本のような構えだ。うんうんいいね。大抵の人なら余裕で捕まっちゃう。
でも、あの人たちは知らないだろう。
一瞬、この一瞬息ができることの尊さも。
全身全霊をかけて心臓を動かす者がいることも。
守りたい過去が未来の鎖になることも。
ボクが、今日を生きるのに命を懸けていることも。
“全身で息をする者とそうでない者の差は致命的だ”
これは父の言葉である。
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yui(プロフ) - ごまさん» ありがとうございます！ キャラ目線は結構考えて書いてるので、お褒めいただき嬉しいです！ (1月17日 16時) (
レス) id: e9850282aa (このIDを非表示/違反報告)
ごま - あっ…好きです。めっちゃ好きです。キャラ目線の書き方とか神ですか？とにかく好きです。推します。 (1月16日 21時) (レス) id: 9def695b19 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - まるさん» 私も書きながらときどき浮かんでます（笑）コメントありがとうございます！ 更新頑張ります！ (1月8日 13時) (レス) @page3 id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
まる - とても面白かったです！口調のおかげでどうしても緑のずんだが…… (1月8日 13時) (レス) @page7 id: b21609e0eb (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - カフカさん» ありがとうございます！ 今作のポイントはズバリ夢主ちゃんなので、そう言っていただけて嬉しいです！ (1月6日 8時) (レス) id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2024年1月5日 17時
