4話 番狂わせの緑頭くん ページ5
高く上がったボールを見て口角が上がる。番狂わせは大好きだ。弱い人間が強い人間を超えていく様は、たとえその超えられた人間から見たとしても面白いものだから。
でもそうじゃあない人間も多くって、多分あの爆発頭の人もそうらしく、番狂わせを起こした緑頭くんに掴みかかっている。
「喧嘩はやめるのだー！」
勢いをつけて飛び蹴りをかませば矛先はこっちに向くから、あとは投げるなりなんなりして捕まえてしまえばいい。
でもボクのやったこともせんせーは気に食わなかったみたいで、3人まとめて捕縛布で捕まえられてしまった。
「ボク無関係なのだー」
ガジガジと噛んでみるけど脱出はできそうにない。便利だからボクもほしいな、何円ぐらいするのかな。
結局テストは1位で、あの緑頭くんが最下位だったけど除籍は免れたみたい。嘘にきまってるって女の子が言ってたけど多分あれは本当じゃないかな。
そのまま帰れるかと思ったけど引き止められて、パーカーはやっぱり校則違反だって言われた。逃げてきた。こちとら中学から着続けてるんだ。校則違反歴の格が違う。
校門で待っていた紫髪の親友に手を振る。遅いと文句を言われたけれど文句はせんせーに言ってほしい。
「パラのクラス何やってたの？」
「個性把握テストなのだー。ボク1位取ったのだ！ ひっしー褒めて褒めて」
「はいはいすごいすごい」
ひっしーもとい心操人使。小4の頃今住んでる地域に引っ越してきたころからの友達。一緒にヒーロー科に行きたかった、なんてボクのセリフじゃないか。
“洗脳”。入試には向かない“個性”。でもはっきり言ってしまえば今日見た新しいクラスメイトの大半は勝てないんじゃないかとも思う。あの入試はサポート系の人を排除してる気がする。1人でなんでもやれだなんて、それこそ……
閑話休題。過ぎたことを言ってもしょうがない。それに面白い人がいた。緑頭くん。まるでオールマイトだ。でも制御できてない。それこそ発現したてのちびっこのような。
「ひっしー、“個性”が遅れて発現した人って聞いたことあるのだ？」
「ないだろそんなの。学会がひっくり返るぞ」
「そりゃそうなのだ」
そんな救済措置があるならいいなと思ったけど、意外と現実というものは残酷だから。家の前で別れて、早めの夕飯を食べ終える。
シャワーを浴びて、ぬくぬくの布団に入って。窓の外で今日もお月様が光っていたから、ボクは安心して目を瞑った。
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yui(プロフ) - ごまさん» ありがとうございます！ キャラ目線は結構考えて書いてるので、お褒めいただき嬉しいです！ (1月17日 16時) (
レス) id: e9850282aa (このIDを非表示/違反報告)
ごま - あっ…好きです。めっちゃ好きです。キャラ目線の書き方とか神ですか？とにかく好きです。推します。 (1月16日 21時) (レス) id: 9def695b19 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - まるさん» 私も書きながらときどき浮かんでます（笑）コメントありがとうございます！ 更新頑張ります！ (1月8日 13時) (レス) @page3 id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
まる - とても面白かったです！口調のおかげでどうしても緑のずんだが…… (1月8日 13時) (レス) @page7 id: b21609e0eb (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - カフカさん» ありがとうございます！ 今作のポイントはズバリ夢主ちゃんなので、そう言っていただけて嬉しいです！ (1月6日 8時) (レス) id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2024年1月5日 17時
