2話 特待生 ページ3
次にその人に会ったのは、入学式の日だった。
担任らしき寝袋に入った先生の頭を蹴っ飛ばして教室に入室、恨みがましそうな目線にもどこ吹く風。入試の日と同じパーカーをブレザーの代わりに羽織っていたけれど校則違反ではないんだろうか。
「いやーギリギリなのだー」
「
「にーげるーのだー」
わっはっはーと笑いながら教室の一番後ろにぽつんと置かれている椅子に腰掛ける。この人……裏界さんだけ席が1列飛び出ている。確か20人のクラスだったはずだけど、この部屋の中にいるのは先生を含めて22人。1人多い。
同じ疑問を持った人は僕以外にもいたようで、入試の日と同じようにメガネ男子が手を上げる。
「先生！ 雄英では1クラスは20人と聞いております！
1人多いのはなぜでしょうか！」
「あー……裏界」
「はいよーなのだ！」
頬をボリボリと掻いて面倒くさそうに裏界さんの名前を呼んで、あと頼むわと気の抜けた言葉を漏らす。当の彼女は教室の前まで歩いていって両手を2回鳴らす。注目が集まったことに気をよくしたのか、得意げに説明を始めた。
「ざーっくり言っちゃえば、ボクが“特待生”だからなのだ！」
「特待生？」
「そ！ 学費の全額免除、入学時に仮免許と同等の資格が与えられる特別待遇なのだ。対象になる範囲が狭すぎて今まで誰もいなかったみたいだけど」
ホームページにも掲載がない。話も聞いたことがない。前例がないんだろうか。
「まあコイツは簡単に言っちまえば“未来のトップヒーロー”。単純に試験を突破した“だけ”のお前らとは一味も二味も違う逸材だ。ほらさっさと着替えた着替えた」
挑発するような相澤先生の声にも反論できない。事実、僕は雄英の生徒に足る実力を持ち合わせていないのだから。
「……何ふくれてる、お前も行け」
「人がせっかく言葉を選んで説明したのに台無しにされて不機嫌なだけなのだー」
彼女はこう言うが、しかし本当のこと。
入試で試験会場のロボットをほとんど壊し尽くし、207
彼女が
はっきり言おう。俺はアレに勝てる気などしていない。
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yui(プロフ) - ごまさん» ありがとうございます！ キャラ目線は結構考えて書いてるので、お褒めいただき嬉しいです！ (1月17日 16時) (
レス) id: e9850282aa (このIDを非表示/違反報告)
ごま - あっ…好きです。めっちゃ好きです。キャラ目線の書き方とか神ですか？とにかく好きです。推します。 (1月16日 21時) (レス) id: 9def695b19 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - まるさん» 私も書きながらときどき浮かんでます（笑）コメントありがとうございます！ 更新頑張ります！ (1月8日 13時) (レス) @page3 id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
まる - とても面白かったです！口調のおかげでどうしても緑のずんだが…… (1月8日 13時) (レス) @page7 id: b21609e0eb (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - カフカさん» ありがとうございます！ 今作のポイントはズバリ夢主ちゃんなので、そう言っていただけて嬉しいです！ (1月6日 8時) (レス) id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2024年1月5日 17時
