10話 パッパラパーのパラ ページ11
「……どーしよっかな、なのだ」
瓦礫の陰に隠れながら、ニヤニヤするチンピラを見てため息をつく。初めての救助訓練は突如として現れた
ぶっちゃけてしまえばあの手だらけ男も霧っぽい人も余裕で捕まえてしまえる、とは思う。でも違和感しかない。
明らかに、あの手だらけ男が考えた作戦だと思えないのだ。上手く言えないけど、なんか、言動の端々から子供っぽさというか精神の幼さが見え隠れしている感じがする。
そんな人間が考えたにしては完璧すぎる作戦。
相当の技術力がないと作れなさそうな“脳無”。
“バカだがアホじゃねぇ”。ろっきーの言葉がリフレインする。
……完全に憶測だけど、別にブレーンがいる気がする。複数の“個性”を持った脳無を作れるような技術か“個性”かの持ち主。後者だとしたらオールマイトやずっくーとも何かしら関わりがあるのかもしれない。
「……それよりも脱出が先なのだ」
落ちていた瓦礫を蹴り飛ばす。音に反応して寄ってくるチンピラ。周りに他の生徒はいない。まとめてやってしまおう。
「
コスチュームのフードを深く被る。バチバチと爆ぜた電撃は極彩色の残穢と倒れたチンピラを後に残して消えた。
出力を上げすぎた気がしないでもないけれど勘弁してほしい。無差別ぶっぱは調整しにくいんだ。
広場の方を見ればせんせーが脳無にやられている。肘が崩れているのは手だらけ男の“個性”だろうか。
「
普段のざっと3倍ぐらいのスピードで走れる。腕力で劣るなら別のところで勝負すればいい。右肘を脳無の鳩尾に叩き込み、せんせーを抱えて手だらけ男から距離をとる。
「誰だよお前」
「はじめまして、ボクは裏界A。あだ名はパラだから好きに呼んでくれればいいのだ」
「頭パッパラパーだからパラか。いいな、覚えやすい」
かなり失礼なことを言われた気がする。せんせーの肘は皮膚が崩れ落ちて筋肉が見えていた。治癒力を創造して庇うように前に立つ。
委員長が先生達を呼びに行ったらしい。仮免と同等の権限があるとは言えどボクは学生、殺すのはまずいからできれば捕まえたい。
「キミたち、なんでオールマイトを狙うのだ？」
「答える義理はねぇよヒーロー志望」
空気に殺気が混じる。ボクは腰を落とす。
一瞬の静寂の後、ボクらは命の削り合いをはじめた。
続く
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yui(プロフ) - ごまさん» ありがとうございます！ キャラ目線は結構考えて書いてるので、お褒めいただき嬉しいです！ (1月17日 16時) (
レス) id: e9850282aa (このIDを非表示/違反報告)
ごま - あっ…好きです。めっちゃ好きです。キャラ目線の書き方とか神ですか？とにかく好きです。推します。 (1月16日 21時) (レス) id: 9def695b19 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - まるさん» 私も書きながらときどき浮かんでます（笑）コメントありがとうございます！ 更新頑張ります！ (1月8日 13時) (レス) @page3 id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
まる - とても面白かったです！口調のおかげでどうしても緑のずんだが…… (1月8日 13時) (レス) @page7 id: b21609e0eb (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - カフカさん» ありがとうございます！ 今作のポイントはズバリ夢主ちゃんなので、そう言っていただけて嬉しいです！ (1月6日 8時) (レス) id: a2ad79a780 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2024年1月5日 17時
