167話 弱いなぁ ページ19
Aサイド
揺れる車窓から見える景色はだんだん暗くなっていき、別荘に着いた頃にはすっかり夜になっていた。
眼鏡の回収と、兄に呪詛師討伐の報告書提出と……あー、車の中で報告書書いとけばよかった。
上層部への連絡は伊地知さん済ましてくれたっぽいし、今日はもう寝ちゃおうかな。疲れた。
あーでも眼鏡……とうだうだしていると、門のところに瀬呂さんがいた。
周囲から天然だの鈍感だの散々な評価を受ける私だが、取りに行く手間省けたなんて気楽なことを考えるほどノータリンじゃない。ちょっとだけ気まずいのだ。
瀬「あ、五条……えっと、あそうだメガネ!!」
慌てた様子でポケットからメガネを取り出す瀬呂さん。一応お礼を言って受け取る。
瀬「……ごめん。一緒に行くって俺が言い出したのに、あんな態度とって」
『大丈夫です、慣れてるので』
瀬「慣れてるって……」
途切れた会話が宙に浮いた。こういうときなんて言えばいいのかわからない。言いたいことは沢山あるのに、頭の中で混ざって結局なにも声に出さない。悪い癖だ。
瀬「……五条は、強いな」
『はあ』
出し抜けにつぶやかれた言葉に気の抜けた返事を漏らす。
瀬「術式とかそういう強さじゃなくて、心が強い」
『心、ですか』
瀬「うん。本当の意味での自己犠牲っていうか……名声とか世間からの称賛とかそういうもののためじゃなくて、本当に
一瞬言葉が切れる。言葉を探した痕跡が、巡らされた視線になって視界に映った。
瀬「俺も、五条みたいになりたいと思った」
凛とした声で、真っ直ぐにそう告げられて、沸いた感情は罪悪感だった。
ごめんなさい。あなたが思うような人間じゃないんです。
曲がりなりにも数ヶ月、雄英で過ごして分かった。
この人たちは、私よりずっとずっと真っ直ぐだ。
光があれば闇がある。闇を祓って、闇に生きる私たちは擦れてしまった。世の中の黒い部分を見続けたせいか、人の暗い感情に敏感になってしまった。
怖かった。心に壁を作って、その中に閉じこもってれば安全だった。兄がいる。先輩達がいる。でもそれだけ。私の世界は狭かった。
親父が嫌いだ。あの家が嫌いだ。でもヒーローは嫌いじゃなかったはずだ。向き合わなかった私の弱さが、この人たちの像を歪めた。
弱いなぁ。弱いなぁ、私。
『……私みたいにならなくて、いいと思いますよ』
声が震えていなかったかどうか自信はない。
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yui(プロフ) - ゆうさん» 私も愛してます！！((((ありがとうございます！ 一回書き方の修正入れるかもなんですが……やっぱり台本書き文字数食うのでチートと揃えようかと。テスト明けにやる予定です！ (9月7日 17時) (
レス) id: 273fd39d94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 更新楽しみにしてます！！夢主じゃないのほうもだけどこっちも大好きです！！！！愛してる！！！！ (9月7日 10時) (レス) id: 93da094e66 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - ありがたやぁ〜 (8月18日 15時) (レス) @page5 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 寝子／猫さん» 相当嬉しいですねそれ！ 私が北海道大好きなので、せっかくならそっちを舞台に書こうかなーと思って書きました！ (8月18日 7時) (レス) id: 02206b89b3 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - 道民からすると推しが北海道来てくれるぐらい嬉しい！！ (8月17日 22時) (レス) id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2023年8月14日 10時
