162話 地雷と素人 ページ14
Aサイド
お母さんに指定された場所を教えてもらい、5000円置いてカフェを出た。
焦りか怒りか。思わず早足になる私の肩を瀬呂さんが叩いた。
瀬「五条、落ち着けって。気持ちは分かるけどさ……」
『……そうですね。すみません、取り乱して』
足を止める。らしくないじゃん、落ち着けって。
一度、二度。深呼吸をして拳を握る。
いくらか冷静になった脳みそで、また目的地へと足を運ぶ。
瀬「……ここか」
Googleマップで確認。間違いなくここだ。
いかにも怪しいですよという雰囲気。何も知らない一般人が入るには胡散臭すぎる空気。
それもそうだろう。中からは呪力と、腐った肉のような匂いがしていた。
死体処理ぐらいしとけよ馬鹿野郎。口が悪くなるのもご愛嬌。
先に忠告しておこう。私は根に持つタイプだ。
何年も前のことを思い出して自己嫌悪に陥る程度にはめんどくさいタイプだ。自覚はしている。
でも、ちょっとこれは地雷だった。
子供のために必死で駆けずり回ったあの人。
そしてそのおかげで味わった絶望。
知って尚、いや知ったからこそ。
もう、止まることなんてできやしない。
利き足を下げる。腰を落として前を見据える。
簡素な扉。蝶番は二つ。
うん、いける。
爆ぜるような音と木の軋む音。風圧に横髪がなびく。
店の中に扉が音を立てて吹き飛んでいく。かさついた悲鳴が聞こえた。
中は、雰囲気だけを重視して胡散臭そうなものを集めたよくわからない空間。
土産屋に売ってそうなアジアン風の仮面がぶら下がってるかと思えば、ムカデのホルマリン漬けの瓶、赤いペンキでベタ塗りにされた木彫り人形。
剥き出しになった電球がぶら下がる天井。蜘蛛が角に大きな巣をかけている。
汚くなったペルシャ絨毯には、マッキーで書かれたであろう魔法陣が鎮座していて。
統一性などない。ごちゃごちゃがちゃがちゃしたそこは、存在自体が私たち呪術師への侮辱にしか見えなかった。
何よりその部屋の主が問題だった。
安そうな生地の薄汚れた布を身体にぐるぐると巻きつけ、その表面に貼り付けられたお札は辛うじてまじない程度の何かを発している、ミイラの劣化版のような男。
素人。ドのつく素人。
呪具の盗難なんて大それたことをできるとは思えないほど、その風貌は素人じみていた。
でも怒りは吹き飛んではくれなかった。
小さな店。助走なんてつけられず、力任せに顔面に蹴りを入れる。
体が吹っ飛ぶ。よっわ。
『覚悟しとけよ、お前』
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yui(プロフ) - ゆうさん» 私も愛してます！！((((ありがとうございます！ 一回書き方の修正入れるかもなんですが……やっぱり台本書き文字数食うのでチートと揃えようかと。テスト明けにやる予定です！ (9月7日 17時) (
レス) id: 273fd39d94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 更新楽しみにしてます！！夢主じゃないのほうもだけどこっちも大好きです！！！！愛してる！！！！ (9月7日 10時) (レス) id: 93da094e66 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - ありがたやぁ〜 (8月18日 15時) (レス) @page5 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 寝子／猫さん» 相当嬉しいですねそれ！ 私が北海道大好きなので、せっかくならそっちを舞台に書こうかなーと思って書きました！ (8月18日 7時) (レス) id: 02206b89b3 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - 道民からすると推しが北海道来てくれるぐらい嬉しい！！ (8月17日 22時) (レス) id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2023年8月14日 10時
