161話 大丈夫だよ。 ページ13
Aサイド
振り下ろされた手を握って止める。やめなよ、あなたの子供でしょ。
母「やめて! 離して!」
『落ち着いてください』
鋭く、ほんのすこしの努気をこめて諭す。
案の定、お母さんの手から力が抜けた。
膝から崩れ落ち、僅かに嗚咽を漏らす。
『……お話、聞かせていただいてもいいですか』
母「……
近くのカフェに入り、お母さんはポツリポツリと話しだした。
はるとくんは瀬呂さんが見てくれている。
母「未熟児で生まれてしまって。肺の機能が他の子供より弱いって、お医者さんに言われたんです。
私の親はもう鬼籍に入っていたので、夫も義両親も育児に協力してくれて。
晴翔も、毎日日葵に話しかけてました。
体力がついてきたので、手術を受けることになったんです。
でも……」
ぐっと言葉に詰まったように、お母さんが視線を巡らす。
次に口を開いた時には、もう涙声になっていた。
母「その医者が、手術のお金持って逃げちゃって」
……ああ、なんでなんだろ。
なんでこんなに優しい人がこんな目に遭うんだろう。
誰かの私欲のために傷つけられていい人なんて、いないのに。
母「そのまま日葵は息を引き取りました。
まだ、2歳だったのに」
諦めたようにこぼす言葉は、どこか人ごとのようで。
この人はまだ、受け入れられてないんだろう。
自分の大事な人は、どうしてか明日も明後日もずっと生きている気がする。
誰しもがそうだ。人間なら。
でも、でもさ。
母「すぐに警察に被害届を出しました。
絶対捕まえるって言ってくれました。なのに」
この先が予想できてしまう程度には、私は汚れてしまった。
母「犯人は捕まらなかったんです。
義両親は心労で相次いで亡くなり、夫も、先月交通事故で」
それで、ネットで見たあのサイトに応募したのだという。
指定された日付は今日。
奇しくも、ひまりちゃんの命日だったと言う。
静かに涙をこぼすお母さんのもとに、はるとくんがやってきた。
晴「ママ、だいじょうぶだよ」
小さな手でお母さんの頭を撫でて、震える声で、引き攣った笑顔で、それでも母を安心させようとしていた。
晴「はるとのプリンあげる。ママのお手伝いもっとする。
ひまりはお空にいるけど、ママが泣いてたらひまりもかなしいよ」
その目に、翳りはなくて。
子供ってのは大人が思っているより強い。
だってほら、もう前を向いている。
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yui(プロフ) - ゆうさん» 私も愛してます！！((((ありがとうございます！ 一回書き方の修正入れるかもなんですが……やっぱり台本書き文字数食うのでチートと揃えようかと。テスト明けにやる予定です！ (9月7日 17時) (
レス) id: 273fd39d94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 更新楽しみにしてます！！夢主じゃないのほうもだけどこっちも大好きです！！！！愛してる！！！！ (9月7日 10時) (レス) id: 93da094e66 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - ありがたやぁ〜 (8月18日 15時) (レス) @page5 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 寝子／猫さん» 相当嬉しいですねそれ！ 私が北海道大好きなので、せっかくならそっちを舞台に書こうかなーと思って書きました！ (8月18日 7時) (レス) id: 02206b89b3 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - 道民からすると推しが北海道来てくれるぐらい嬉しい！！ (8月17日 22時) (レス) id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2023年8月14日 10時
