3話 はじめまして、伏黒さんIII ページ3
甚爾サイド
あまりの良い子っぷりに若干目眩がするも、二人を家へ上げる。
さすが五条家と言うべきか、勿論と言うべきか。靴を綺麗に揃えていた。
……俺やってねえ。気を付けよ。
謎な所で謎な決意をし、最後に部屋に入った俺はリビングのドアを閉める。
その先には、天国が広がっていた。
初めて来る場所に少し緊張しているAの手を、津美紀と恵が優しく引く。
連れていった先はキッチン。そこで綾がオーブンからなにかを出す。
それを見たAはキラキラと目を輝かせた。
綾が出したのは焼きたてのクッキー。
昨日の夜、俺が寝た後に綾が生地を作っておき、今日の朝、早起きした津美紀と作ったらしい。
さっすが俺の嫁と娘。天才。
リビングのテーブルで3人仲良くクッキーを頬張る姿は、まるで本物の兄弟のよう。
ふと横を見ると、五条が静かに涙を流しながら携帯で写真を撮りまくっている。
ときどきうわ言のように「尊い……僕の妹が今日も可愛い……」と呟く。壊れたか。
尊いのは津美紀と恵も同じだろ。(こっちも壊れていたようだ。)
あの幸せ空間を壊さないように全力で気配を消して、寝室に向かう。
寝室と言っても、眠りに行ったわけではなく、一眼レフを取りに行ったのだ。
また全力で気配を消してリビングに戻ると、五条が「才能の無駄遣い……」と漏らした。失礼な。
子供の成長を見れるのはとても貴重だし、それを邪魔するのは誰にも許されていない。
なんて名言を言った風にしているが、本当は子供達が可愛いだけです。ハイ。
数枚写真を撮り、すぐさまパソコンにデータを移す。
バックアップを取っておかないと、思春期の恵辺りに消される恐れがある。
心配しすぎだと思うかもしれないが、万全の対策を取っておかないと万が一のとき凄く後悔するんだ。よだれ爆弾落とされたときの絶望感を知らないお前には分かるまい。
クッキーを食べ終わると、津美紀と恵がAに質問をしだした。
津「どこに住んでるの?」
『こーせんのりょうだよ! おへやが兄とおとなりさんなの!』
「おへや」て……「おとなりさん」て……可愛いなあオイ。
妹気質なAは、言動一つ一つになんとも言えない可愛らしさがある。
津美紀が嬉しそうなのも、妹がいるみたいで楽しいからだろう。
……もう一人綾に頑張ってもらうか? いや、こんな簡単に決めて良いことじゃねえ。
それをしてしまえば、俺はあの大嫌いな実家のヤツらと同類になってしまう。
4話 はじめまして、伏黒さんIV→←2話 はじめまして、伏黒さんII
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yui(プロフ) - どこにでもいるオタク女子さん» リクエストありがとうございます！！ 灰原くん・七海さん関連は前々から書こうと思っておりました！！ 高専入学式編が終わり次第、書かせていただきます！！！ (7月19日 17時) (
レス) id: 7cec18c610 (このIDを非表示/違反報告)
どこにでもいるオタク女子(プロフ) - 灰原出してほしいです！！ (7月18日 10時) (レス) @page7 id: 60c6ae1278 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - イチゴアメさん» リクエストありがとうございます！！高専の入学式ですね、了解しました！今書いている伏黒家との出会い編が終わったら書こうと思います！結構お待たせしてしまうかもです... (2022年10月9日 9時) (レス) id: 936c26f56c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴアメ - コメント失礼します！リクエストなのですが、本編でちらっと伏黒から言われてた、夢主ちゃんの入学式を書いていただけますか？yui様が考えている高専の入学式･･･どんなものなのかとても気になりまして。いつでも構いませんので、書いていただけると光栄です！！ (2022年10月9日 8時) (レス) id: 25abd0a2df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yui | 作成日時：2022年9月20日 21時
