【アイナナ】アニメヲタクの初恋-3 (ページ36)

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「あーうまかった」

昼食を終えた私たちは宛もなくゆっくりと歩いていた

『美味しかったね。この後どうしようか？帰る？』

横を歩く環くんを見上げた

「うーん…」

遠くを見つめながら気の抜けた返事をする環くん

私も視線を前に戻した

「あんたは帰りたい？」

『え？』

「そう聞かれて戸惑った」

帰りたい訳ないじゃん…

『俺はまだあんたと居たい』

思いもよらないこの場に胸が熱くなる

「…私もまだ帰りたくない」

そう言うと環くんは私の手を握った

「よしっ！じゃあ決まり！」

環くんはニカッと笑いわ私の手を引いて歩いた

「き、決まりって、どこに行くの…？」

『いいから行けばわかる』

何も教えてくれず、しばらく歩き続けると環くんはデパートの前で足を止めた

『デパート…？』

初めて環くんと一緒に来たデパート

あの時は付き合ってなかったけど…

「ゲーセン行こうぜ」

環くんはそう言うと子供みたいにエスカレーターを駆け上がって行った

その微笑ましい姿を後ろから見つめていた

「早く来いよ」

環くんはエスカレーターを登った先で手を伸ばして待っている

胸がキュンと音を立てた

アニメや漫画でしか見たことのない演出が現実で起こっている

私の目の前で…

環くんは2次元から飛び出してきた人ではないかとつくづく思わされる

「どうした？」

気付くと環くんの手を取ることなく、私はエスカレーターを昇り切っていた

ボーッと見惚れすぎた…

『ご、ごめん…！』

「具合悪い？」

『ううん…！私は幸せものだなって』

環くんはキョトンとしていたが、それ以上聞くことはなかった

「ほら、行こうぜ！」

私たちは手を繋ぎ、ゲーセンまで向かった