【アイナナ】アニメヲタクの初恋-3 (ページ2)

今日:31 hit、昨日:0 hit、合計:33,194 hit

20-1 ページ2

環くんたちが来る夕方まで時間がある

1人だとどうしても悲観的になってしまう為、テレビを付けた

お昼の情報番組は面白くない

ただ人の声があった方が落ち着いた

「あの人気アニメが実写映画化決定！ヒロイン役は今女優としても大人気、モデルの光さん！そしてみんなを虜にしたむっくん役にはRe:valeの百さんです！またむっくんに恋しませんか？」

流れたCMに釘付けになってしまった

『嘘でしょ…？実写化…？』

アニメの実写化は今までどうしても受け入れられなかった

世界観やキャラのイメージが変わるから

必ずどこかカットされてしまう

1番好きなアニメが…

むっくんが…実写化…

これは私の中では一大事だった

百さんがどんな人なのか、私にはわからない

実際Re:valeの曲も何となくしか聴いたことがなかった

不安でしかない…

帰ったらお姉ちゃんに聞こう

ピンポーン

まだ学校が終わるには時間が早かった

恐る恐る玄関に近付き、念のためチェーンを掛けて扉を開けた

「維？」

『お父さん…？！』

そこに居たのはお父さんだった

すぐにチェーンを外して、お父さんを中に入れた

するとお父さんは靴を脱ぐ前に私を抱き締めた

『お、お父さん…、どうしたの…？！』

「ごめんな、維…。誕生日なのに当日に祝ってやることも出来ない上に怖い思いまでさせてしまった…。本当に申し訳ない…」

お姉ちゃんやみんなから聞いたのだろう

お父さんの顔は見えないが、鼻をすすっている音で泣いているのが分かる

『お父さん、私無事だから！それにお父さんのせいじゃないでしょ？謝らないでよ。とりあえず中に入って、座ろう？』

お父さんは私から腕を離すと、中へそろそろと入って行った