【アイナナ】アニメヲタクの初恋 (ページ34)

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「これから予定あったんでしょ？どこでアイツが現れるかわからないから、お兄さんが送ってあげるよ」

え、えぇっ…？！

『い、いえ…、助けてもらった上に送ってもらうなんてそんな…、ただバイトに行く途中で、そんな遠くではないので…』

「気にすんな。どっちだ？行くぞ」

彼は私の話を流し、方向を聞いて私の背中を押した

バイトまでの道、内容のない話をしながら二人で歩いた

お互い素性を明かす訳でもなく、ただどうでもいい他愛のない話をしている

どこか大人な余裕な彼との話はいつものバイトの距離を楽しいものに変えてくれた

どこかで見たことあるような…

何となく彼に見覚えがあるのだが、思い出すことができず、気付けばバイト先に到着していた

「このケーキ屋？」

『あ、はい』

ふーん、と彼はコクコクと頷いてる

『ち、ちょっと待っててください！』

彼に少し時間を頂くと、私は店に入り新作のケーキを2つ選んで箱に詰めて彼の元へ戻った

『お待たせしました！これ…新作のケーキなんです！とってもオススメです！今日のお礼です！あ…、甘いもの大丈夫でしたか…？』

彼はキョトンとした顔でケーキを見ていたが、すぐに表情を緩めてそれを受け取った

「ありがとう。甘いもの好きだよ。今度は買いに来るね」

『こちらこそここまでありがとうございました！』

「うん、じゃーね」

軽く右手を上げて去っていく彼の後ろ姿を見えなくなるまで眺めていた

あんな人なかなか出会えない…

すぐにお店に戻り、今のケーキのお代を払い、着替えてバイトに就く

バイト中は暖かい気持ちでお客さんと接することができた

人は優しくされると、優しくしてあげたくなるんだなと思った

今日は良い日だ

終わりよければ全てよし！

バイトも何事なく終え、軽い足取りで家に帰った