【アイナナ】アニメヲタクの初恋 (ページ33)

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「いででででで…！何だ、てめぇ！」

そこにいたのは眼鏡を掛けた若い男性だった

彼は中年男性の腕をとり、ひねり返す

「あんた、痛いの好きかと思って」

「離せよっ！」

眼鏡の彼は余裕の笑みを見せながら、中年男性の腕を離した

「お前さん、彼女と知り合い？今から俺らデートなんだけど、何か用？」

へっ…？

眼鏡の彼は、状況を飲み込めず混乱している私の肩にそっと腕を回しながら中年男性に質問をした

すると彼は私の方見て、任せろ、と言わんばかりにウインクをした

「ホントかよ…。通りすがりに助けに来ただけじゃないのか？今、俺はこの子がぶつかってきた衝撃で体が痛いんだよ。病院に一緒に来てもらって治療費くらい出してもらわないと」

「じゃあ俺が一緒に行くよ。診断書貰ってこの目で症状確認して、治療費も出しますから」

眼鏡の彼は顔色一つ変えずに淡々と答える

その対応に中年男性は返答に困ってしまった様で、動揺し始める

「どうされました？早く病院行きましょう」

眼鏡の彼は私から離れると、中年男性の背中に片手を添え、もう片方の手を前にを広げ誘導した

「くそ…、今日のところは許してやるよ…。俺が心の広いやつで良かったな…」

そう言って中年男性はそそくさと去って行った

『あ、あの…！ありがとうございました！』

行っちゃった、と中年男性を見送る彼にお礼を言った

それにしても演技うまいな…

ドラマのワンシーンを観てるようだった

「いやー、びっくりしたよー。通り掛かったら女の子が変なおっさんに絡まれてるから。無傷でよかったね」

彼はニコニコしながら眼鏡をクイッと上げる

『厄介な人にぶつかってしまいました…。気をつけて歩きます…』

「よろしい」

そう言うと彼は私の頭をポンポンと撫で、よしっ、と何かを決めた