【アイナナ】アニメヲタクの初恋 (ページ29)

今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:50,125 hit

7-5 一織side ページ29

授業が終わり、休み時間に入る

「一織くーん！笑ってー！」

「一織くん、サイン書いてー！」

毎日毎日飽きない人たちだ…

休み時間になる度に他のクラスから人が集まってくる

四葉さんは面倒くさいと言って、いつもすぐにいなくなってしまう

『ここは学校なので静かにしてくださいね』

学校とはいえ一応ファンなので人差し指を口の前にあて、優しく伝えた

「きゃー！！」

「一織くんに怒られちゃったよー！」

「どうしよー！自慢しちゃおう！！」

その反応何なんですか…

周りの騒がしさに嫌気がさしていた頃、マネージャーからラビチャが届いた

「維にお弁当渡すように頼んでおいたので、受け取ってください(スタンプ)」

この人は馬鹿ですか…？

なぜ維さんに頼んだのか

マネージャーの行動はたまに頭を抱える時がある

ただもう維さんがお弁当を受け取ってしまっているなら、受け取り方を考えなければまた今朝みたいなことになりかねない

まず今朝の出来事は何だったのか

今までこんなことはなかったはずなのに、急に維さんが目立つようになった

そういえば四葉さんの名前もあがっていたが、そもそも彼女は四葉さんを知っていたのでしょうか

彼女と四葉さんに何があったのか

私はともかく四葉さんと接触するようになれば、彼の性格を考えるとちょっと厄介になりそうですね…

マネージャーの姉よりは賢い彼女なので、きっとどう渡すか悩みながらトボトボと向かってきているでしょう

下駄箱の前なら今の時間は誰もいないはず

まだ玄関辺りにいるかもしれないと、私は足早に教室を出た

だが向かった先には誰もいない

遅かったですかね…

すれ違ってはいないはずだが、人のお弁当持ったままどこをほっつき歩いているのでしょう

周りを見回しながら教室へと戻る

すると教室の前でキョロキョロと室内を見渡す彼女の姿を見つけた

『維さっ…』

声を掛けようとした時、彼女の背後から四葉さんが近付く

ヤバい…！

教室の周りには私や四葉さんのファンがたくさん集まっている

ファンではなくても私たちはテレビに映るアイドルである以上、何もしなくても目立ってしまう

そんな考えも虚しく、四葉さんは維さんに話し掛けた