チョコレートスコーン

無防備な笑顔 ページ11

Aのビックリとして後ろを振り返る表情はすぐに見えなくなって。

Aは俺の胸にスッポリと収まった。

思わず、スッポリと収まったAを強く抱き寄せてしまう。

恐る恐る上を向くA。

「カイ…！」

俺の顔を見ると安心したように笑顔になったA。

そーゆう顔が無防備なんだよ。
男を勘違いさせるんだよ。
もし、俺じゃない奴に掴まれてどっか連れてかれてたらどうするんだよ。

自分で考えときながら、Aが他の奴に掴まれてるのを想像するだけで自分の中の何かがドロドロ溶けていくような感覚がした。

「バカなのお前？！こんな遅くに一人で外歩いて？！変質者だってここら辺いっぱいいるんだぞ？！？！」

こんな強く言うつもりなんてなくて。

ましてや、今日知り合ったばかりの女の子にこんなに強く言う自分にさえ苛立ちを覚える。

「へ…」

びっくりしたのかポカーンっと口を半開きのままこちらを見つめるA。

「だから…その…俺は心配で…ごめん」

思わず謝ってしまう。

「あ…えっと…心配してくれたの…？」

Aは俺の胸に収まったまま顔を上げて聞いてくる。

こいつ狙ってやってんの？
それは反則でしょ。

「心配…した…」

小さく答える俺にAは笑ながら言う。

「ありがとう…嬉しい…へへっ…(笑)でもさ、まだ23時半だよ？さすがに大丈夫だよ〜しかも、明らかにどう見てもカイが変質者じゃん！(笑)」

そう言われて、たしかに自分が変質者だと思った。

「確かに…(笑)俺が一番怪しい奴だな…(笑)」

「でも…なんかドキッてしたよ」

そう言いながら自然な上目遣いで笑うAが可愛くて自然と手は頭を撫でていた。

こいつには勝てない→←電話の奥で聞こえる声

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