もう、どうでもよくなった。 (ページ29)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:74,653 hit

29話ページ29

当時の俺は本気で母に個性を見せたら元気になると思い込み、毎日親父と稽古に励んだ

そして4ヶ月ほど掛けてやっと個性が現れた

だがそれは、テレビで見るヒーロー達みたいな派手な個性ではなく、ただ放った矢が確実に当たるというもの

派手な個性に夢を膨らませていた俺にとって初めて現実を見せつけられた

個性のことを母に告げるかかなり悩んだ

話した所で褒められるような個性じゃないし、

──話した所で元気にならないかな

こう思ってしまった

でも母が短い命を必死に生きていると思うと、話さずにはいられなかった

また見舞いに来た日

『お母さん、実はね、僕個性が出たんだ』

俺は俯きながら話を切り出した

母は俺の言葉に目を見開いたが、すぐに優しい眼差しになって

母「どんな個性？」

と聞いた

『えっと、僕が放った矢が絶対に当たるっていう個性・・・』

母「どうしてそんなに悲しげな顔で言うの？」

『だってそんなに凄い個性じゃないから、お母さん元気にならないかと思って・・・』

母「何を言ってるのよっ、十分凄い個性じゃない、
乙矢の口から聞けてとても嬉しいわ
誇りに思いなさい」

『っうん！』

安心して視界が涙で歪んだ

母「フフ、おいで」

母はそう言って俺を優しく抱き留め、頭を撫でてくれた

そのあとは泣き疲れて眠っていて、目が覚めると家に居た

そして夜に事態は急変する

夜中に母の様態が悪化し、急いで病院に行った

意識がある方が奇跡という状態で母は最期の言葉を紡いでいった

母「乙矢、あなたの個性は誇るべきものよ・・自信を持って、あなたは私たちの宝よ、忘れないでね。・・・笑って強く生きるのよ・・・」

その言葉を最期に母は息を引き取った

お母さん、

短い間だったけど、お母さんと過ごせた日々を幸せに思うよ

今でも思い出せるよ

鮮明に

育ててくれてありがとう

そして

ごめんなさい

────────────────────────
お邪魔します作者のえびフライです
気づいたら沢山の方に読んで頂き、お気に入り登録者様も50人を突破致しまして感謝しかありません！

今後ともよろしくお願いします！

話は変わりますが、私が書いていて、ジャンルは全然違うのですがもう1つの作品も良かったら見ていってください

俺の彼女はゆでだこちゃん【角名倫太郎】