作者がただただ描きたい話を短編で書きなぐるだけ

世界に引き込まれる ページ18

「ようこそ！私達の世界へ！！」



この私の一言で、この世界が、空間が完成する。




私はいわゆるサーカスの団長だ。




私は自分たちの鍛え上げた技術をただ見せつけるんじゃない。


私達サーカス団が作り出す世界に観客を引きずりこませることを軸としてパフォーマンスしている。


だから、いつもこの私の一声でこの世界は始まる。



「ここは時間や身分、自分の性別すらも忘れて、楽しめる場所！

あなたも、この世界の住人になれるんですよ？」



と、お決まりのセリフも忘れずに。





無事公演は終了し、観客は現実の世界へと戻って、会場をあとにする。



舞台裏へと戻れば、スタッフや、劇団員たちのお疲れ様などの声が聞こえる。


無事成功したおかげか、みんな笑顔だ。


この笑顔を見ると私も嬉しくなる。




実はの話なんだが、今回のこの地域はすべて無料公演だ。


不思議だろう？


移動費や売店で商品を出したり、様々な費用がかかる。


鑑賞料をもらわなきゃ、サーカス団が潰れてしまう。




それでも、無料公演にしている理由は、ここが貧困な紛 争地帯だからだ。



もちろん安全な場所にテントを広げ公演をしている。



私達サーカス団は全国を飛び回るサーカス団で、ありがたいことに世界一おもしろいサーカスだと言われている。



そんな私達に先日一報が入った。



「貧困な紛 争地域で無料公演をしてくれないか。」と。


もちろん私はすぐに承諾した。


私は、私達の世界に引きずり込ませて、笑顔にすることを前提として公演をしている。


日々つらいことに耐えながら生き延びているこの地域の人達に、


いつも見ている世界とは違う世界を見せたい。そう思った次第だ。




この公演では、火とか、破 裂音などは控えようなど、色々考えた。



そして迎えた本番当日。




今日は、今日を振り返ってのお話をしよう。

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