声恋3【江口拓也】

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江口「着いたよー」

貴方「あり、ぁと！」

江口「どーいたしまして！」




仕事場に着いて降りる前にキスがしたくてちょっと期待の眼差しを向けると拓也さんはハテナを浮かべ首を傾げていた




江口「どうしたの？」

貴方「…」

江口「ええなに！？怒ってる！？」




察しの悪い拓也さんにムゥーッと頬を膨らませ細い目を向けた
キスの手話は両手でキツネの形を作り指先を合わせる動作。それは前に拓也さんに教えたから分かるだろう
だから片手でキツネを作りその指先を拓也さんの唇にチョンと合わせた




江口「！そういうことね」

貴方「もう、」

江口「いひひっ笑 ごめんって〜」




機嫌を直させようと頭を撫でてくれる拓也さんに目を閉じると唇に温もりを感じた
ゆっくり目を開け視線が絡むと微笑んでくれる拓也さんに微笑み返し胸に飛び込もうとしたが…
シートベルトによってガンッと音と共に動きを封じられてしまった

そ、そうだシートベルトしてたんだった…




江口「ぶっ笑」

貴方「！」




吹き出したかと思えば盛大に笑い出す拓也さんにカアッと体温が上昇した
真っ赤な顔で拓也さんの肩をべしべし叩くと「ごめんごめん」なんて言いながらも笑い続けていた

恥ずかしさと悔しさでふんっとそっぽを向きシートベルトを外し車を出ようとしたら手を掴まれ振り返った




江口「いいの？しなくて」

貴方「…」




腕を広げる拓也さんに一瞬躊躇ったが我慢できずに身を寄せると大きな体で抱きしめてくれた
満足して体を離すと拓也さんは優しい表情で口を開いた




江口「気をつけてね、いってらっしゃい」

貴方「いってきあす、拓也も！」

江口「いってきます！」




元気に挨拶を交わし車を降りて外から拓也さんに向かって笑顔で手を振りビルの中へ入った

仕事行く前に充電満タンになった！でももう会いたい。




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