声恋3【江口拓也】 (ページ27)

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お客様が引き始め、汚れたテスター類を綺麗に拭いて消毒していると女の子が目を輝かせてメイク道具を見ていた

貴方『メイク、きょうみある？』

「う、うん…可愛い…！」

貴方『おねえさんが、ためしてあげようか？』

「えっ、いいの？」

貴方『もちろん！ここにすわってまっててね』

「うん！」

席に座って貰い女の子の顔に合いそうな化粧品を取りに裏へ行くと坂本さんや他のBAさんが私を見てクスクスと笑った

「子供にタッチアップなんかしたって買って貰えないのにやる気なの？笑」

「時間の無駄なのにね」

「まあ子供相手にはちょうどいいんじゃない？笑」

貴方「…」

そう言って意地悪そうに笑う彼女達を無視して売り場へ戻った

貴方『おまたせしました！おなまえなんていうのかな？』

りほ「りほだよ！お姉さんは耳が聞こえないの…？」

貴方『そうなんだ。でも口のうごきでなんていってるかわかるから、だいじょうぶだよ！』

りほ「へ〜！すごい！」

子供らしい驚き方にクスッと笑い女の子顔に筆と指を滑らせた

貴方『できた！どうかな？』

りほ「…わぁ…！すごい！プリンセスみたい！」

鏡に映る自分を見てうっとりしている女の子に自分が嬉しくなり微笑んだ
子供だろうとこうして自分が変身した驚きやメイクの楽しさを知ってもらえると嬉しい。

りほ「お姉さんありがとう！ママに見せてくる！」

貴方『どういたしまして！きをつけてかえってね！』

りほ「うん！バイバイ！」

貴方「ばいばいっ」

ブンブン手を振って帰っていく女の子に手を振り返しメイク道具を片付けた
今日のノルマは達成できなかったけど1人だけタッチアップさせて貰えて良かった。
ずっと清掃をしているわけにもいかないし…明日からどうしようかな。

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