幸せの魔導書【ブラクロ】 (ページ10)

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普段のAだったらユノが入ったということもあり、魔法帝に近いということもあるわけで迷わず金色の夜明け団を選択するところだったろう。

しかし、この時のAには金色の夜明け団に入るという選択肢はなかった。

『…(私だってもっともっと成長したい…)』

｢おい、何迷ってるんだあの子｣

｢普通に考えて金色の夜明け団に入るだろう｣

｢まあ流石に最底辺の黒の暴牛団には入んないだろうな｣

後ろからそんな声が聞こえてくる。

『最底辺…か』

｢受験生！どの騎士団に入るか選べ！｣

Aは意を決してその団の団長を見ると

『黒の暴牛！でお願いします！』

Aがそ言うと一気に会場がさわついた。

｢なんだあの子！何考えてんだ？｣

｢なんで最底辺の団を…｣

それには黒の暴牛の団長達も驚いている様子だった。

｢え！？えええ！？ちょ、ヤミさん。一体どんな手ェ使ったんですか！｣

｢あァ？知るかボケ俺はただ右手挙げただけだ｣

私は私のやり方で魔法帝を目指す。

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魔法騎士団入団試験が終わった。

｢ユノは金色、俺とAは暴牛！ここからが勝負だな！｣

｢ああ…｣

ギュルルルル…

｢うぉおおおお！！とんでもない便意!!｣

『あ、アスタ!?』

アスタはそのままトイレに行ってしまう。

『(大丈夫かな…)』

｢Aはなんで暴牛？｣

アスタのことはお構い無しにユノは質問をしてきた。

『えっと…成長するため…？』

｢…｣

Aが大雑把に答えるとユノは納得していないようで無言でその続きを待っていた。

『う…ほら、私って昔からユノに頼りっぱなしだったでしょ？なんて言うか…二人が本気で魔法帝になりたいってずっと言ってたけど、私だって本気で魔法帝になりたいの。だからまずは一人前にならなくちゃと思って』

｢…そう｣

『それに、黒の暴牛団は最底辺だって聞いたから。最底辺からスタートしても魔法帝になれるんだって証明したい』

ユノは納得したのか愛玩動物を撫でるように無言でよしよしとAの頭を撫でた。

｢…変な虫がつかないかが心配だけど｣

『虫？』

本人は自覚していないが、Aはハージ村で少なからずモテていた。それでも誰も言い寄ってこなかったのはいつも傍にユノがいたからなのだ。

｢はぁ…(まぁ、アスタに関してはシスター一途だから心配してないけど…)｣

『ユノ…？』

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