幸せの魔導書【ブラクロ】 (ページ32)

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『さ、先に空気を悪くしたのは貴方達じゃないですか！』

｢口が減らないな下民。女だからと見逃してやろうと思ったがそれ以上言うならお前も処分対象だぞ｣

｢こういう図に乗った奴には、体に覚えさせないとな。二度とおいたできないように｣

｢兄様辞めて！｣

ソリドが水魔法をアスタに放った。

ユノもAも魔導書を構えた。

しかし、アスタは自力で魔導書からもう一つ剣を取り出して拘束を解き強力な水魔法を跳ね返した。

｢ノエルに、謝れ！！｣

｢…！！この俺に、膝をつかせたな！この下民風情がぁあ！！｣

ソリドがまた何かを仕掛けようとした時

｢『！』｣

銀翼の大鷲団長であるノゼルからの巨大なプレッシャーにより、皆動けなくなる。

｢王族に逆らいし下民、どう裁いてやろうか｣

ノゼルはアスタとAを見据えた。

『(わ、私も対象なんだ…)』

Aは身構える。

｢そこまでにしておけ｣

が、紅蓮の獅子王団長の言葉により二人とも救われた。

｢少年少女相手に恥ずかしくはないのか。シルヴァ家の人達よ｣

Aはアスタの元によって安否を確認すると気が抜けたようにしゃがみ込んだ。

｢それにしても言うようになったなA！｣

『あはは…アスタには全然敵わないよ…

(ほんとに殺されるかと思った…)』

そんな二人の前に紅蓮の獅子王のローブを身につけた赤毛の少年が立っていた。

彼は二人と目が合うと高らかに笑った。

｢ハッハッハ！ミモザから聞いておった通り、貴様らなかなか面白いではないか！｣

何だかテンションの高い様子の彼。

｢よし喜べ！このレオポルド・ヴァーミリオンのライバルにしてやろう！｣

そう言いながらアスタに詰め寄るレオポルド。

『(なんだか暑い人だな…)』

｢アスタか！いい名だ。我がライバルよ！｣

終始テンションの高い彼は日常的にこうなのだろう。

｢あのー。せっかくだけど、俺のライバルはそこにいるユノと、あとこいつ、Aで…｣

｢…ほう、Aと言うのか貴様｣

『へ？あ、はい…』

レオポルドはAに向き直るとじっと彼女を見つめた。

｢貴様、歳はいくつだ？｣

『ア、アスタとユノと同じく15です…』

｢そうかそうか｣とまた高らかに笑って見せたレオポルド。

一体何なのだ。

｢貴様、…このヴァーミリオン家に嫁ぐ気はないか？｣

『…はい？』

レオポルドのその言葉に、その場にいた誰もが耳を疑った。

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