幸せの魔導書【ブラクロ】 (ページ31)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:30,277 hit

. ページ31

.

兄弟たちに次々に罵声を浴びせられるノエル。

｢一回程度の成功で舞い上がって、わざわざシルヴァ家の名に泥を塗りに来たのか｣

｢ノゼル兄様…｣

｢この場はお前に相応しくない。去れ。母殺しの出来損ないめ｣

｢…｣

ノエルが背を向けると、ノエルが出ていくのを阻むようにAが立っていた。

｢A…？｣

『ノエルは出来損ないなんかじゃありません…！』

つい衝動で体が動いていた。衝動でそんな言葉が口に出ていた。

Aは我に帰るが、もう今更口を閉じる必要が無いと思った。仲間が罵倒されて黙って見ていられるわけが無い。

『どうしてその一回目の成功を認めてあげないんですか…』

｢なんだ貴様は｣

｢こいつも確か下民のくせにそいつと同じ四葉を貰ったとかいう奴じゃないか｣

｢はっ…四葉を貰ったからって図に乗るな下民｣

Aは周りの罵声にひるまずに続けた。

『どうして生まれ持った才能だけでここに立っている貴方達貴族が、努力を積み重ねてここまで来た私達を馬鹿にできるんですか…。

どうして財力にも魔力にも恵まれて育ってきた貴方達貴族は、そんなにも…そんなにも心が貧しいのですか…！』

｢…なんだと？貴様下民風情が…！｣

やはり下民であるAの言い分では貴族たちの耳には届かない。

魔法騎士団に入ったとはいえ今の地位ではやはり限界がある。

『(私が魔法帝になって、必ず…！)』

ガシャン

｢そうだ！よく言ったなA！｣

アスタがテーブルの上に立っていた。

｢下民だの、鼠だの、恥晒しだの、出来損ないだの…相応しいとか相応しくないとか、知るかぁあ！！見とけよ俺は必ず＿＿＿｣

魔法によってアスタは包まれた。

｢貴様如きは喋ることも許されない。黙れ｣

｢＿＿＿黙らん！！｣

アスタは剣で魔法を切り裂いた。

｢いいかこんちくしょう！俺は必ず実績を詰んで魔法帝になってお前ら全員黙らせてやる！！｣

そう堂々と宣言したアスタ。

『あわ…(でも私もそれ言いたかった…)』

｢有り得ねぇ｣

｢｢笑わせるなッ！｣｣

シルヴァ家の二人は水魔法と霧魔法でアスタを拘束しようとするがアスタの反魔法でどちらも打ち消される。

金色の男が砂創成魔法の規模の大きい拘束魔法でアスタを捉えた。

｢アスタさん！｣

｢こ、この場はこれくらいに…｣

｢黙っていろ。
戦功叙勲式の祝宴という晴れの舞台でこのような立ち振る舞い。処分は免れんぞ｣

.