幸せの魔導書【ブラクロ】 (ページ3)

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『どうして…＿＿＿』

Aが言いかけたところで、突然手元にあった魔導書が一層白く輝き出した。

『わっ…』

｢四葉のクローバー…｣

Aの魔導書には確かに四葉のクローバーが描かれていた。

辺りが一瞬でザワっとして｢あの伝説の！｣｢初代魔法帝も授かった｣｢幸運が紛れ込んだ魔導書｣という声が次々と聞こえてくる。

｢しかも2人も!!｣

『…？(2人？？)』

Aがキョロキョロと辺りを見ていると、すぐ隣にいたユノの魔導書も光っているのに気がついた。

｢俺は、魔法帝になる｣

ユノがそう言うと周りはどっと盛り上がり｢おおー！｣｢すげえ！｣と歓声が聞こえてきた。

『えと…』

そんな中Aはうずくまっているアスタを心配し、声を掛けるタイミングを伺っていた。

すると、

｢ユノ、A｣

『！』

アスタはすくっと立ち上がり

｢待ってろ。すぐ追いつく。俺はお前らのライバルだからな！｣

堂々と宣戦布告してきた。

しかし、周りから笑われてしまう。

｢ライバルなんて烏滸がましいわ！｣

｢魔導書を貰えなかったやつが何言ってんだ！｣

『な、なにを…!』

Aはその場の空気に耐えられず、思わず怒りを顕にしようとするも

｢帰ろう｣

そう言ったユノに手を引かれ塔を出ることになった。

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ユノに手を引かれながら歩くA。

Aはアスタだって今回ばかりは相当凹んでいるはずだと思い心配していた。

『(うぅ〜心配だよ…。万が一アスタが帰ってこなかったとかしたらどうしよう…)』

引き返して慰めてあげた方がいいんじゃないかと考えたところでAは足を止めた。

｢…A？｣

『ええっと…そう、タンポポを！見に戻ってもいいかな！』

｢…｣

とてつもない苦し紛れの口実にユノは黙ってしまう。
顔に思いっきり“アスタが心配”と書かれているのが分かる。

｢…大丈夫だよ。あいつは｣

『確かにアスタは打たれ強いけど…』

｢あいつは俺たちのライバルだから｣

『!』

その言葉にはどうしてだか説得力があった。

しばらくしてAはふふ、とふんわり笑みを零して｢帰ろう｣と手を差し出して来たユノの手を取った。

しかし、その行く手を阻む者がいた。

｢今日は俺たちが主役になるはずだったんだ…｣

そこそこいい身なりをしているその男は貴族だろう、嫉妬の目でユノとAを睨んでいた。

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