幸せの魔導書【ブラクロ】 (ページ19)

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男はAに気がつくと直ぐに氷の矢を打ってきた。

Aは直ぐに反応して魔法でそれを砕いた。

そしてアスタが負わせた傷に正確に魔法を当てる。

｢チッ…｣

『うぅ…(私はアスタみたいに身体能力は高くない…けど)』

Aは次々と男が放ってくる氷柱に対応して魔法を当てながらも次々に男の傷に向かって攻撃を放っていく。

｢こいつ、魔導書も使わずに…っ｣

魔導書を用いないそれは決して大した威力はない。

しかし、とてつもない早業で放つ魔法で次々と防御と攻撃を繰り返しているため敵にとってはかなりの脅威だった。

｢(なんて正確な魔法なんだ…)｣

無限に次々と出てくる氷柱一つ一つに最小限の魔法で対応しているため、とてつもない集中力がないと出来ない。

一方でAはもっと身体能力があれば魔法を使わずに避けられたのに、と悔いていた。

｢チッ…(いつになったら魔力がそこを尽きるんだこいつ)｣

なかなか魔力が切れないAに男は焦り始めた。

男が大きな魔法を放ってもAは容易くそれに対応できるだけの魔法を放ち防いでいく。

｢(これでは時間を奪われるどころか…こちらが負ける…)｣

『(対応まではできるけど、この人…決定的な隙が全然生まれない…)』

どうにかとどめを刺さなくては、と考えていると

｢まだだぁああああ！！｣

アスタが飛び出してきて、男に向かって剣を振りかぶった。

｢遅い｣

しかし、一瞬にして氷魔法で吹っ飛ばされる。

｢『アスタっ！！』｣

｢まだまだぁ！！｣

それでもアスタは折れない。

…

｢約束をまもるためだけじゃない。
みんなを守るために俺は、魔法帝になる！｣

｢魔法帝だと？馬鹿げた夢だ。残念だがお前はあと一分で死ぬ｣

｢させるかボケェ！！そいつをやるならまずは先輩であるこの俺をやってからにじゃがれぇ！！｣

ようやく少しは魔力が回復したらしくマグナが水の壁から出てきた。

｢『マグナ先輩！』｣

｢てめぇ、漢じゃねえか！アスタ！
Aもありがとよ！時間を作ってくれたおかげで少しは回復できたぜ！｣

｢わざわざ早死しに来たか。…30秒だ。｣

男のその合図で後ろにいた下っ端らしき人達も構えた。

｢上等だ。行くぞアスタ。洗礼の儀だ｣

その言葉で何をするのか悟ったアスタとA。

｢炎魔法爆殺散弾魔球(ばくさつさんだんまきゅう)｣

マグナの放った全力の魔法はアスタが打ち返したことで油断した敵全体にあたった。

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