幸せの魔導書【ブラクロ】 (ページ15)

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『それにしてもノエルは魔の量がすごいんだね』

　Aは魔を頼りにしてノエルの元までたどり着いたため、ノエルの強力な魔を感じていた。

　「へ？…ま、まあね！私は王族だもの。あ、当たり前じゃない！」

Aの素直な感想に気をよくしたノエル。王族とはいえ今までこうも素直に褒められたことはないノエルにその言葉はかなり響いていた。

「なかなかわかる下民じゃない。ふん、特別に名前で呼んであげるわ」

ノエルはそう言ってAに背を向けると、どこかへ行ってしまった。

『…(すごく上から目線だったな…)』

そのあとAはなんとか食堂にたどり着き、バネッサにアジトの案内をしてもらった。

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夕方になって自室で手紙を書いていたAはふと強力な魔を感じ取り外に出た。

『ノエル？』

「！…A」

朝とは違ってローブを羽織っていないノエルは魔法の練習をしていたらしく息切れしていた。

Aはそこら中にできた穴をみてノエルがどれだけ練習していたのかを察した。

『…すごい』

「は…？」

てっきり馬鹿にされると思っていたノエルは拍子抜けした。

『あ、えと…練習の邪魔しちゃってごめんね！』

「そ、そんなことはどうでもいいのよ！」

ノエルが気にしているのはどういう意味でAが『すごい』と漏らしたのかだった。

…

『こういっちゃ失礼かもしれないけど、貴族や王族の人って自分の地位に過信してノエルみたいに努力するっていうイメージがないから…』

「それは元々才能があるから…」

『元々才能があっても、努力をしなければいつまでもそのままだよ！努力する人にいつかは抜かされるよ！』

「…A。そ、そうね」

ノエルはその言葉に頷きもう一度水魔法を放とうとすると、近くから草の擦れる音がしてアスタが出てきた。

『…アスタ』

「よう…」

「い、いつからそこに…」

Aはともかくアスタには悪態をついてきたため、今度こそ馬鹿にされるのではないかと身構えるノエル。

「お前…」

「いやっ…！！」

アスタが口を開いたとたん彼に向って水魔法をはなつが、その魔法に自分自身が飲まれてしまう。

『ノエルッ！！』

「逃げろ！！」

魔法はどんどん膨張していき、アスタとAまで飲まれそうになる。

アスタに手をひかれAも走るが途中で吹っ飛ばされた。

そして二人してアジトの前にいたヤミに首根っこをつかまれキャッチさる。

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