【Fischer's】前途多難な恋だから ** モトキ

Christmas Eve * 01 ページ12

朝からケーキを焼き続け、空いたと思えばホールに出る。毎年のことながらこの日は本当に好きになれない。
次のテーブルにケーキを持っていく。このシーズンに男性3人なんて珍しい、遠目にそう思った瞬間に一人の大きな後ろ姿にフリーズする。あれは・・・どうみても・・・。

「お待たせしました・・・ケーキ、だよ？」

ン「Aちゃんおつかれー」

やっぱりだ。
マサイくんとモトキくんまで、回りがカップルなのを良いことに騒がれないと思ったのだろうか。斜め向かいの高校生カップルなんてきっと気づいている。

「大丈夫？皆ばれちゃうよ？」

思わず小声になる。

マ「モトキがさー、Aちゃんの働く店に行ってみたいって言うから」

モ「ちょっ・・・・まぁ、そうだけど」

モトキくんが赤くなるのが可愛く思えた。

「ふふっ、これ食べたら騒がれないうちに帰ること！また夜にねっ」

客「すみませーん、注文お願いしまーす」

「はーい、ただいま参ります」

"じゃぁね"と小さく手を振って仕事に戻る。
皆に元気を貰って、夜まで頑張れそうな気がした。



* * *

モトキ side


初めてコックコート姿のAちゃんを見た。働いてるAちゃんの姿はカッコ良くも見えた。

マ「良かったな、会えて」

事の始まりは二時間前。撮影が終わり次の撮影までの空き時間。25日にAちゃんにプレゼント渡せとンダホが言い出した事から始まる。
そのつもりでは居たのだか、今日まで中々決まらずに居た。そこに協力なのか、悪のりなのか俺らも一緒に探すの付き合うと名乗り出てきたのが、こいつらというわけだ。
大体は決まっていて、あとは実物をみて選ぼうと思っていたので、以外にすぐに決まったのだが。

ネックレス。
デザインは至ってシンプルなもの。二種類の小さめの宝石がついたもの。ムーンストーンとアメジスト。これはお店のお姉さんのチョイスで意味を聞いたらこっぱずかしくなったので、ンダホ達には言わないことにした。白と青みかがった明るめの紫がとてもキレイで気に入った。

明日告白して渡す、そう考えるとかなり緊張するのだが、デートの申し出を受けてくれたAちゃんの表情やベランダでの会話を思い出すと・・・少しの期待さえ生まれる。

ン「あっ、見ろよ！シルクのTwitter！イケメン画像になってる！」

モ「おー、いいねぇ、新鮮だね」

シャンパン企画での敗者の罰ゲーム。
笑ながら帰路につく。夜になればまたAちゃんに会える。

Christmas Eve * 02→←ベランダ * 03

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す